11巡目、瀬戸熊が十分形でリーチ。
このとき、園田の手はまだまだアガリまで遠かった。
テンパイを狙ったが叶わず、瀬戸熊の一人テンパイで局が流れた。
東4局:掟破りの逆石橋スペシャル
今シーズンのMリーグで話題となっているのが、石橋が見せた「赤切りソバテン」だ。
あえてドラである赤を切り、まわりの牌の警戒を薄めさせる効果が期待できる。
見事アガリに結び付けた局もあり、今や石橋の代名詞ともなっている奇手。
期待するファンの声も少なからず見聞きする。
「リーチ」の発声と共に、ノータイムでが打たれた。
手の内からの切りリーチ、しかし声の主は石橋ではなく園田。
満貫から5200に打点を下げてのリーチだが、ツモれば満貫、出アガリでも一発か裏で満貫にはなる。
理屈は分かるがこのリーチを打つ決断が面白いし、これを石橋の前で繰り出すというのがなんとも心憎い。
実況・日吉辰哉は「掟破り」と叫んだ。
何の因果か、石橋の手にはロン牌が浮いていた。
早々に打ってもおかしくなかったが、石橋は無スジのを打ってまで、を手の内に留めていた。
最後はリーチ宣言牌で放銃となったが、赤切りには何か不穏なものを感じ取っていたのかもしれない。
「切りリーチでもで放銃していたから打点を損したね」と当人は思っていたそうだが・・・
園田さんに赤5切りの著作権侵害されたけど何とか2着!4pロンも想定してたので全然悔しくなかったもんねもんね!
— 石橋伸洋 (@rate1484) December 3, 2020
やはり悔しかったようだ。
次局は怒りの?リーチ一発ツモピンフ三色の3000-6000。
瀬戸熊の仕掛け、そして園田の追撃を振り切ってのアガリには、つい力が入ってしまった様子だった。
南3局1本場:どこまでも甘えない多井
この試合、多井はとにかく手が入らなかった。
東1局から代名詞とも言える「配牌オリ」のような打ち筋をしばしば見せていたことが、それを物語っている。
ただ、南3局は序盤から手がまとまっていた。
トップと10100点差、本場や供託もあり、満貫ツモで一気にトップだ。
しかし先制テンパイは園田、をペンチャンでチーしての後付けテンパイを入れる。
第1打から真ん中の牌を複数切っており、他者から見ればなんとも不穏だ。
うまくいかないときというのはこういうものなのだろうか、多井がを掴んでしまう。
なんとか12枚で打ち回してテンパイしたが、結局は通らなかった。
局は16巡目と終局間近だが、自身はラス目でアガリが、少なくともテンパイがどうしてもほしい場面。
「打ってもやむなし」、筆者を含め、見ている方の多くはそう思っただろう。
多井は打たなかった。
手役がほぼ全て否定されており、あとはが暗刻かトイツかという場面。
一か八かで目先のテンパイを取りたくなるのが人の常というものだが、ここでも我慢をした。
多井はどこまでも甘えない。
この局は石橋の選択も印象的だった。