残酷なまでに平等な麻雀という世界で、近藤誠一は再び奇跡を起こせるのか【Mリーグ2020観戦記3/9】担当記者:ZERO

カットライン上にいる6位のフェニックスとしては、ラスを引くことはできるだけ避けたい。

そうしているうちにファイトクラブをかわせば少し楽になる。

近藤の切ったに、慎重な姿勢をうかがい知ることができた。

この局は多井の仕掛けに全員がオリて流局。

こうして運命の半荘は幕を開けた。

 

東2局 重すぎる

重い。
1局見ただけなのに、あまりに雰囲気が重いのだ。

シーズン終盤はこの雰囲気がずっと続くのだろう。

異様な空気をさらに強く感じたのはこの局だった。

親・多井のリーチを受けたたろうがテンパイ。↓

タンヤオドラ3の勝負手である。

ピンズはとなっていて、

ここはを切ってカンで待つのがセオリーである。

は親の現物でもあるし、

裏目のツモ(ポン)でも

再度を切れば待ちの三面張になる。

たろうもを切ったのだが、それにしても切るまでに時間がかかった。

5枚持っているの禍々しさに躊躇したか。

そのに近藤が声をかける。

のリャンメンチー。

アガリは諦め、多井の一発を消しつつ形式テンパイに向かう鳴きだ。

ただ、まだ13巡目でありは薄いわけでもない。

近藤が形式テンパイに向けて早めに鳴くなんて、今まであっただろうか。

これは作戦的なものなのか、直感か。

いつもと違う選択であることは間違いない。

次にをツモってくるたろう。↓

は危険牌だ。

たろうは顔を歪めて悩む。

たしかに多井のリーチは驚異的だが、通っていない筋は多く、普段のたろうならさほど迷わず切っている牌でもある。

もう一度ランキングを見てみると…

ドリブンズもここでラスを引くと下位争いに巻き込まれてしまう。

今は期待値よりも結果が大事。
放銃しました、すいません、じゃ済まない状況なのだ。

この状況がプレッシャーになって、いつも切っている牌がすんなり切れない。

結果を切ったのだが、あの傍若無人のたろうがプレッシャーに押しつぶされそうになっているのを見ると、チーム戦終盤の重みを感じることができる。

その後もたろうは押していく。

その押しを見て、多井は(そこにドラが固まっているのね…)と察した。

それでも気合のモーションでツモに祈りを捧げる。

首位・ABEMASは安泰のように見える。

レギュラーシーズンのポイントはもう重要じゃないかもしれない。

いや、違う。

もしかしたらここで失うポイントが、ファイナルに響いてくることだってある。

たとえば昨シーズンのファイナルのオーラス、セガサミーフェニックスは優勝までハネツモ条件まで漕ぎ着けていた。

ただ、もしレギュラーシーズンの4着を1つだけ3着にするだけで5pt増えていたことになる。(順位ウマ20ptの1/4)

そうなるとオーラスの条件ももう少し緩くなっていただろう。

つまり、今の戦いはファイナルの条件に直結する。

無駄にしていいptなど存在しない。

無駄にしていい手牌など…

ただの1つもないのだ。

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