カットライン上にいる6位のフェニックスとしては、ラスを引くことはできるだけ避けたい。
そうしているうちにファイトクラブをかわせば少し楽になる。
近藤の切ったとに、慎重な姿勢をうかがい知ることができた。
この局は多井の仕掛けに全員がオリて流局。
こうして運命の半荘は幕を開けた。
東2局 重すぎる
重い。
1局見ただけなのに、あまりに雰囲気が重いのだ。
シーズン終盤はこの雰囲気がずっと続くのだろう。
異様な空気をさらに強く感じたのはこの局だった。
親・多井のリーチを受けたたろうがテンパイ。↓
タンヤオドラ3の勝負手である。
ピンズはとなっていて、
ここはを切ってカンで待つのがセオリーである。
は親の現物でもあるし、
裏目のツモ(ポン)でも
再度を切れば待ちの三面張になる。
たろうもを切ったのだが、それにしても切るまでに時間がかかった。
5枚持っているの禍々しさに躊躇したか。
そのに近藤が声をかける。
のリャンメンチー。
アガリは諦め、多井の一発を消しつつ形式テンパイに向かう鳴きだ。
ただ、まだ13巡目でありは薄いわけでもない。
近藤が形式テンパイに向けて早めに鳴くなんて、今まであっただろうか。
これは作戦的なものなのか、直感か。
いつもと違う選択であることは間違いない。
次にをツモってくるたろう。↓
は危険牌だ。
たろうは顔を歪めて悩む。
たしかに多井のリーチは驚異的だが、通っていない筋は多く、普段のたろうならさほど迷わず切っている牌でもある。
もう一度ランキングを見てみると…
ドリブンズもここでラスを引くと下位争いに巻き込まれてしまう。
今は期待値よりも結果が大事。
放銃しました、すいません、じゃ済まない状況なのだ。
この状況がプレッシャーになって、いつも切っている牌がすんなり切れない。
結果を切ったのだが、あの傍若無人のたろうがプレッシャーに押しつぶされそうになっているのを見ると、チーム戦終盤の重みを感じることができる。
その後もたろうは押していく。
その押しを見て、多井は(そこにドラが固まっているのね…)と察した。
それでも気合のモーションでツモに祈りを捧げる。
首位・ABEMASは安泰のように見える。
レギュラーシーズンのポイントはもう重要じゃないかもしれない。
いや、違う。
もしかしたらここで失うポイントが、ファイナルに響いてくることだってある。
たとえば昨シーズンのファイナルのオーラス、セガサミーフェニックスは優勝までハネツモ条件まで漕ぎ着けていた。
ただ、もしレギュラーシーズンの4着を1つだけ3着にするだけで5pt増えていたことになる。(順位ウマ20ptの1/4)
そうなるとオーラスの条件ももう少し緩くなっていただろう。
つまり、今の戦いはファイナルの条件に直結する。
無駄にしていいptなど存在しない。
無駄にしていい手牌など…
ただの1つもないのだ。