熱論!Mリーグ【FS初日】
これみよがしのビタ止め!
もはや常軌を逸した
多井隆晴、神域の選択
文・山﨑和也【月曜担当ライター】2020年6月15日
ついに、Mリーグが帰ってきた。
新型コロナウィルスの影響を受けて、Mリーグも延期を余儀なくされた。ファイナルシリーズ進出の4チームが決まったまま、約2ヶ月半もの時が経った。6月15日、ついに待ち望んだファイナルシリーズが開幕。無事に開催されたことを喜び、同時に尽力された関係者の皆様にお礼を申し上げたい。
この自粛期間、皆様はどう過ごされただろうか。筆者はほとんど家にいた。パソコンの前に座って、今日はABEMAかU-NEXTのどっちにするかと悩みながらKADOKAWAのコミックを傍らに結局セガサミーのPCゲームを遊ぶ……
どうでもいいのでさっそく第1試合の模様をお送りしたい。
ここまでの順位を振り返ってみよう。トップは今シーズン初参戦のサクラナイツ。ただ、ほとんどポイントに差がないといってもいい。残り12戦で最も多く勝つチームはどこか。
第1試合を戦う選手はこちら。
1戦目
東家 小林剛(U-NEXT Pirates)
南家 茅森早香(セガサミーフェニックス)
サクラナイツはレギュラーシーズンで大暴れした沢崎が出陣。フェニックスはここまで成績が振るわなかった茅森がリベンジに向けて大一番を戦う。ABEMASはエースの多井が登場。パイレーツは船長小林がファイナルシリーズ初航海だ。
東1局。親の小林の手がひとつの分岐点を迎えた。この手は789の三色がまず見える。となるととを切ることになりそうだが、2枚ともドラなのだ。
ペンチャンを払うか、三色に決めるか。小林の手が止まる。
少考の末、を切る選択をした。打点が下がるようでもイーシャンテンに構えることを優先。ペンチャンを払ってしまうとテンパイまで時間がかかってしまうので、このほうがよさそうだ。
沢崎から出たをチーして打。これで三色赤の2900点のテンパイにとった。
この出てきたドラに多井がポン。打としてタンヤオに向かう。親の小林がドラを2枚切ってペンチャンを鳴くという行動が不気味であるものの、そこから考えられる打点はそう高くない。こちらのほうが打点は上だと胸を張って歩んでいく。
少し手が進み多井の手が広くなった。小林は変わらずのテンパイを維持している。もちろんこの手は前に進むわけだが、三色で筒子が待ちになっているならばもも当たる可能性はある。
多井はを切った。ここは萬子に手をかける選択肢も考えられたところだ。
次巡にをツモ切り。これは結果オーライで、仮にを残していたら打で放銃していた可能性があった。このあとにツモったも押してイーシャンテンのまま小林に追いすがる。
テンパイの小林も怖いのは同じだ。目の前の人間が8000点の見える手なので、どこまで押せるか難しいところ。このは多井に通っていない牌だったが少し時間を使って押していった。
小林がを切った直後の多井の手番。ここでを持ってきた。
うーんと手牌を見つめて考える多井。このはツモ切ってよさそうな牌だが。
ここはあえて手の内からを出した。これが地味ながら真似してみたいテクニック。こうすることによっての周辺を危険だと周りに思わせる効果がある。
それを当然小林は見逃さないはずがなく、次巡にを手にしたところで打とし、退却に回った。
テンパイを崩してしまうのは観戦者からすると「あ~」と思うかもしれないが、すぐに危機を察した小林の判断は冷静だった。
多井がをツモり、またも手の内からを見せて今度こそテンパイ。
先ほど退却と書いたが、小林はしっかりと形式テンパイを取れる態勢を作っていた。今度はを切る。が多井の手から2枚出されたことで、場に4枚並んでいたのだ。こうなるとが当たる確率は低い。1打1打にしっかりと状況を判断している。
結果は小林と多井のテンパイで流局。開局から見応えのある攻防が繰り広げられ、筆者は思わず「ああ、戻ったなあ」と幸せを噛みしめるのである。週に4回、夜7時から麻雀を見ていたあの頃を。
守備の次は攻撃を紹介する。東1局2本場。多井の手がメンタンピン系の手になりそうな格好だ。ここでターツの選択になるわけだが、何を切るだろうか。