抗え、最後の1牌まで あらゆる逆境をはね除けて、黒沢咲は希望を紡ぐ【Mリーグ2020観戦記3/11】担当記者:東川亮

その後にかかった園田のリーチに、黒沢は撤退を余儀なくされた。

園田はリーチ後にをツモ切っており、もし先にリーチを打てていれば、と思いたくなる場面。

理では合っているのかもしれないが、今は結果に勝るものなどない。

それは黒沢本人が、痛いほど分かっている。

流局後、次局は園田が亜樹から2900は4100を出アガリし、南4局は5本場へ。

黒沢は2着目に浮上したが、トップまでは8000点以上の差がついてしまった。

園田はノーテンを宣言できる点差のため、よほどのことがない限りこの局がラストチャンスだ。

逆転トップの条件は、1300-2600ツモか3200直撃。

他家からの出アガリなら満貫が必要となる。

黒沢の配牌はドラと赤が1枚ずつあって打点は見えるが、メンツがない。

5巡目にはのリャンカン形からを外す。

形だけを見ればを切りたいところだが、大事な打点の種は手放せない。

カンを引き入れ、また分岐点。

黒沢は深く、深く考える。

ここでの選択が、チームを敗退に追い込むかもしれない。

間違えました、ミスりました、では済まされない。

だ。

黒沢咲がそう決めたならば、ユニバースは信じるのみ。

引きで打

ドラ引きを残しつつ、引きでの三色変化なども見たか。

これも何を選ぶか難しい

なぜ、すんなり牌が来てくれないのか。

何を引いても裏目はあるが、もはや裏目が引ける余裕もない。

黒沢の決断は場に高いピンズ外し、引きに備えてを切った。

実際には既に3枚持たれており、残り1枚。

黒沢の見立ては合っていたが、受けも残り1枚だった。

テンパイ一番乗りは亜樹だった。

黒沢が欲しかった最後のを引き入れ、の役なしテンパイ。

ただ彼女とて、場にの1メンツを並べており、一度はアガリを逃した格好となっている。

園田はドラのを引いてメンツを壊し、終局までのカウントダウンを始めた。

次巡、亜樹が待ちに手変わりしてリーチ。

黒沢は、ノーテンならば3着に落ちることが確定した。

最後の最後に、最大の逆境。

それでも、黒沢は進まねばならない。

そこに追い打ちをかけるかのように、最後のが訪れる。

を残しておけばここでテンパイ、一つ明確に裏目を引いた。

黒沢はを切り、を残した。

目に見えて薄いカンより、フリテン

選択ミスを受け入れ、それでも必死でアガリを目指す。

黒沢の、仲間の、そして雷電ユニバースの思いが引き寄せたのか。

最後のドラを重ねて、逆転のテンパイが入った。

 

過去2シーズン、雷電はレギュラーシーズンをプラスで終えたことがない。

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