抗え、最後の1牌まで あらゆる逆境をはね除けて、黒沢咲は希望を紡ぐ【Mリーグ2020観戦記3/11】担当記者:東川亮

そして8チーム中唯一、ファイナルの舞台を経験したことがない。

逆襲を誓って臨んだ2020シーズンも、89戦を終えて-269pt。

いわば3年間、雷電は負け続けてきた。

この試合で苦しむ黒沢は、まるでこれまでの雷電の苦しみをトレースしてきたかのようにすら思える。

でも。

まだ、勝利への道は途切れたわけではない。

今度こそセミファイナル、そしてファイナルへと進んで優勝し、仲間と喜びを分かち合いたい。

そして、3年間辛い思いをさせてきた雷電ユニバースに喜んでほしい。

あるいはそんな感情が、黒沢を突き動かしていたのではないだろうか。

2巡後、黒沢がツモった

それは山にたった1牌だけの、最後に残った希望。

降りかかる逆境の数々に抗い続け、ついにたぐり寄せた、雷電の可能性を紡ぐラストピースだった。

2000-4000は2500-4500、黒沢咲、逆転トップ。

試合が終わり、黒沢は必死で感情を押し殺しつつ、小さくうなずいた。

その姿はまさしく、雷電の「ヴィーナス」。

華奢に見えるその身の内に、決して折れない強さを秘めている。

雷電はこのトップで、下位2チームに決して小さくはない差をつけた。

後は最終日の結果で、セミファイナル行きを決める6チームが決まる。

黒沢は最後の戦いを「1ファンとして見届けたい」と語った。

どのような結末になろうとも、それは各チームが90戦を全力で戦った末に生まれたものだ。

きっとTEAM雷電のメンバーも、U-NEXT Piratesセガサミーフェニックスの敗北を願う、ということはないはず。

レギュラーシーズン最終日、どんなドラマが生まれ、どのチームが勝ち上がるのか。

最後の瞬間まで、目が離せない。

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