「見ている方を惹きつけ
られるような麻雀を打つ」
KONAMI麻雀格闘倶楽部
伊達朱里紗インタビュー
Mリーグの新シーズンを前に行われたドラフト会議において、KONAMI麻雀格闘倶楽部は2名の選手を指名。最初に名前を呼ばれたのは、プロ歴3年目の新鋭・伊達朱里紗だった。
伊達は今年、日本プロ麻雀連盟が新設した女性プロのタイトル戦「桜蕾戦」で優勝。他にも、自団体のタイトル戦で佐々木寿人を破って上位進出、EX風林火山のドラフト会議指名選手オーディションでは女性プロ最上位の8位に食い込むなど、さまざまな対局で実績を残している。
今回のドラフト指名をどのように受け止め、どのような心境でMリーグに臨むのか。契約直後の伊達に話を聞いた。
-指名をされたときの、率直な感想からお聞かせください。
ドラフトは、家で一人で見ていました。自分の名前が呼ばれるとは思っていなかったですし、何よりKONAMI麻雀格闘倶楽部の1巡目の指名は滝沢和典さんだと勝手に思っていたので、名前が出た瞬間はビックリしすぎて、パニック状態になっていました。手とかがすごく震えて、急に涙が出てきて・・・そんな感じです。
-もしかしたら指名されるかも、というイメージはありましたか。
ドラフト前にアンケート記事などで私の名前を挙げてくださっているのは見ていました。もしかしたら周りの方はドラフトで指名されることを思い描いてくださっていたのかもしれませんが、私個人としては全く想像できていなくて、現実的には受け止められていませんでした。
-ここ最近ではEX風林火山のオーディションでも惜しいところまでいくなど、対局で結果を出されていました。
いろいろなタイミングがかみ合ったんだろうな、というのはすごく感じています。今年3月に初タイトルを獲得した桜蕾戦をKONAMIの方が見てくださっていたらしく、攻めっ気のある魅力的な麻雀だと評価してくださっていたみたいです。あと、日本プロ麻雀連盟のWRCリーグというタイトル戦では毎年いいところまで行けているのですが、今年はベスト16で佐々木寿人プロと戦いまして、その対局も見てくださったとのことでした。そういうことがあっただけでなく、今年はチームが選手の入れ替えを決断するなど、いろいろなことが絡み合って、今回の指名に至ったのだと思います。それはすごくありがたいことだと思います。
-以前、Mリーグについて「視聴者の数が多すぎて、尋常じゃないプレッシャーがかかる舞台」とおっしゃっていました。実際にあの場で戦うことが決まって、今のイメージはいかがですか。
ちゃんと落ち着いて、頭が回転してくれるといいなと思います。最初はめちゃくちゃ緊張すると思うのですが、緊張はしっかり頭を働かせるには不要なものだと思うので、少しでも早く目の前の麻雀に集中できるようにしたいです。
-入場シーンや勝利者インタビューなど、注目されるところもいろいろあります。
たぶん、めちゃくちゃ顔が固いんだろうなと思います。その辺は始まってみないと分からないですね。
-KONAMI麻雀格闘倶楽部というチームは、どのようにご覧になられていましたか。
すごく好きなチームでした。今回ご一緒させていただく佐々木寿人さん、高宮まりさん、滝沢和典さんのお人柄もすごく好きですし、今まで支えてくださっていた前原雄大さん、藤崎智さんもすごく好きな方でした。チームとしてファンの方をすごく大事にされていて、どう見られたら魅力的なのかをすごく考えられているチームだと思うので、そういうチームに選んでいただけたのはすごく光栄でうれしいことだと感じます。
-麻雀のタイプ、考え方的にも近いところがあるのでしょうか。
私はプロデビュー直後にWRCリーグという大会で決勝まで行けたのですが、そのときは緊張し過ぎて押すべき牌を押せないという、すごく弱気な麻雀でした。そこから2年間でたくさん勉強して「押さなきゃ勝てない」という結論に至り、最近では攻めの姿勢をしっかりと見せて、攻めて勝とう、という麻雀を目標にしています。最近では見ている方から「女版寿人」みたいな評価をしていただけることがあって、それはすごくうれしいことだ思っています。Mリーグでは「女版寿人」さんのような存在になりたいです。
-ファンの方には、押しっぷり、攻めっぷりを見てほしい、と。
戦っている姿がかっこいいと言ってもらえることがあるので、強気にしっかり戦っているところ、Mリーグという大きい舞台におびえず戦って、見ている方を魅了できたらうれしいです。
-チームメートの方とは、もうお話はされましたか。
滝沢さんは連盟がやっている女流勉強会や夕刊フジのチームでコーチをしてくださっていることもあり、何度かお会いしました。「一戦一戦、自分が成長できていると思って麻雀できたらいいんじゃないか」とおっしゃってくださったので、その言葉を胸に刻んで戦おうと思っています。寿人さんと高宮さんとは、まだまだしっかりお話をしたことが少ないので、これから親交を深めていけたらと思っています。
-Mリーグに臨むにあたり、成績やそれ以外の部分も含め、どんな目標を掲げていますか。
もちろんポイントをプラスしてチームに貢献したい思いはありますけど、よりすぐりの32人で行われるリーグ戦なので、そこはどうなるかは分かりません。成績はもちろん大事にしていきながらも、見てくださるファンの方に麻雀を好きになってもらえるような内容、姿を見せたいと思っています。自分は声優という仕事もさせていただいていて、声優やアニメ好きの方に麻雀ファンも多いので、そういう方が見てくださることもあるかと思います。そこで自分の姿を見てMリーグに夢中になってくれることがあったらすごく光栄だなと思っていますし、そのためにも自分が一生懸命麻雀を勉強して強い麻雀を打って、表情やしぐさでも見ている方を惹きつけられたらと思っています。見てくれる方がいるからこそのMリーグだと思っていますので、私自身が応援していてよかったと思ってもらえる選手でありたいと思います。
-最後に、ファンの方に向けての意気込み、メッセージをいただけますか。
麻雀プロとしては2年半たっていないくらいで、歴としてはひよっこなんですけど、私自身は今までしっかりと麻雀を勉強してきたつもりですし、これからももっと勉強して強くなっていくので、応援していてよかったと思ってもらえる麻雀を打てるよう頑張ります。KONAMI麻雀格闘倶楽部というすごく魅力的で強いチームを、ぜひ応援していただけたらと思います。
さいたま市在住のフリーライター・麻雀ファン。2023年10月より株式会社竹書房所属。東京・飯田橋にあるセット雀荘「麻雀ロン」のオーナーである梶本琢程氏(麻雀解説者・Mリーグ審判)との縁をきっかけに、2019年から麻雀関連原稿の執筆を開始。「キンマweb」「近代麻雀」ではMリーグや麻雀最強戦の観戦記、取材・インタビュー記事などを多数手掛けている。渋谷ABEMAS・多井隆晴選手「必勝!麻雀実戦対局問題集」「麻雀無敗の手筋」「無敵の麻雀」、TEAM雷電・黒沢咲選手・U-NEXT Piratesの4選手の書籍構成やMリーグ公式ガイドブックの執筆協力など、多岐にわたって活動中。