「勝つのは俺だ!」
最強戦の申し子、
猿川真寿が打ち出す
最強戦での勝ち方
【決勝卓】担当記者:江嵜晋之介 2021年10月3日(日)
2021年も10月に入り、最強戦の出場枠も残すところあと4枠となった。
麻雀プロに出場チャンスがあるのはアマチュア最強位を除いた3枠。
残り少ない出場枠を獲得するため、見事予選を勝ち抜いてきたのはこの4人。
風林火山オーディションで見事優勝を果たし、今季からMリーガーとなった今一番勢いのある選手。10月4日からスタートするMリーグレギュラーシーズンでの活躍にも注目が集まっている。
ネット麻雀「天鳳」における最高段位「天鳳位」の称号を獲得し、2018年に最高位戦日本プロ麻雀協会に入会。約3年と短いプロ歴ながら、既にタイトルも獲得している強者だ。
安倍颯斗
昨年はアマチュア最強位としてファイナルに出場。今年から日本プロ麻雀連盟所属となり、プロとしてファイナル出場を目指す。
(23歳と出場選手の中でダントツに若く、登場時のぎこちないポーズにもフレッシュさが感じられる)
最強戦ファイナルへの出場は過去4回。切れ味抜群の攻め麻雀で起こしてきた逆転劇が記憶に残っている視聴者も多いかと思う。今宵も「モンキーマジック」に期待が高まる。
開始前の実況席で、試合の見所を聞かれた滝沢プロは「一番気持ちの強い人が勝つ」とコメントした。
一見精神論のようにも聞こえるが、半荘1回勝負でトップしか価値のないこのルールでは、普段打っている麻雀とは違うバランス感覚が要求される。トップを取りに行こうとすれば当然リスクを背負う必要があり、リスクを背負うためには「勝ちたいと思う強い気持ち」が必要になるだろう。
はたして誰の気持ちがより強く、その強い気持ちを打牌に乗せることができるのか。注目の一戦が始まった。
東1局
開始早々、猿川にチャンスが訪れる。
配牌で七対子の一向聴だったが、4巡目にしてなんと四暗刻の一向聴へ変化。がドラなので鳴いても倍満が見える超大物手だ。
7巡目、平和の聴牌を入れた安倍が待ちでリーチ。
この時点では山に6枚残り。安倍のアガリに思えたが、9巡目に安倍が持ってきたドラのを猿川がポン。そしてすぐにツモ。
三暗刻がついて倍満のツモアガリ。短期決戦ではこれ以上ないスタートダッシュを決める。
東3局
親である安倍の先制リーチに対して、トップ目の猿川はの片アガリ聴牌から、とノータイムで勝負!
でしかアガれない苦しい形ではあるが、安倍がツモ切りリーチだったことから愚形もしくは打点に不安のあるリーチと読んでの押し判断か。何にせよトップ目だからといって守りに入らない、気合の入った選択を見せてくれる。
東3局1本場
猿川の独走状態に待ったをかけたのが松ヶ瀬。山田からの先制リーチに回りながらもの聴牌を入れ、リーチツモドラドラの満貫に仕上げる。トップ目猿川との点差を縮めることに成功した。
(勝負手にかける気合いが伝わってきたのか、をツモった瞬間、空を切る音が画面越しに聞こえた気がする)
東4局
気合いなら猿川も負けていない。平和聴牌から積極的にリーチをかけ、1300-2600をツモり上がる。松ヶ瀬との点差を更に広げる。
目下ライバルである松ヶ瀬の親番、ここは手堅くダマテンに構えたくなるところだが、ここでも攻めの姿勢を見せる。
試合後のインタビューで猿川は「オーラスは苦しい展開になりそうだと思った」とコメントしている。安倍・山田との点差が開きすぎて、かつ松ヶ瀬がラス親であるため、このまま局が進んだ場合オーラスは松ヶ瀬との一騎討ちが予測されるからだ。そうなった場合、オーラスは自らがアガって終わらせる必要があり、松ヶ瀬へ放銃するリスクも当然背負わなければならない。そのため現状のリードは全くもって安全圏ではなく、トップ目の現状でも加点のチャンスは逃せない。
そして猿川の予感通り、オーラスに入った時点で安倍・山田ともに三倍満ツモ、もしくは猿川からの倍満直撃条件と可能性はかなり低くなり、恐れていたラス親松ヶ瀬との一騎討ちとなった。
南4局