堀慎吾の神眼ふたたび──視える者だけが苦しむ、葛藤と後悔【週刊Mリーグ2021セレクト11月29~12月3日】文・須田良規

「高宮さんが今【6ソウ】ツモ切って、【6ソウ】が3枚見えになりました。【2ソウ】も3枚見えですよね。
高宮さんは【5ソウ】先に切ってるんですが、真ん中より下でソーズメンツは厳しそうですよね」

「ソーズの上で1メンツあったとして、宣言牌の【8ピン】は雀頭とメンツのフォロー牌になるので、
マンズで2メンツ欲しいですね。でも【6マン】先に切ってて、僕から【6マン】2枚見えで、他家にもマンズ高くて、
どうもメンツ手がしっくりこないんですよね。ソーズがもしなかったならなおさらです」

「なので、【6ソウ】より上のソーズ、【7ソウ】【8ソウ】がトイツなら、自然と全体もチートイツで想定しやすいんですよね。
まあ感覚的なものなので、本当に説明はしにくいですけど・・・。
高宮さんの【5ソウ】切りと【6マン】切りの速度も、無意識のうちに情報として取り入れてるんだと思います」

確かに。高宮のそこの打牌も早かった気がする。メンツ構成の要になる中張牌の切りでも、メンツ手との天秤にかけないなら、早くなる。

「最初に【東】【西】【東】と手出しだったんですけど、それは【東】をすぐカブったけど安全牌にして先に【西】切って、次に【東】切ったんでしょうね。
だから最初はメンツ手っぽいけど、途中でチートイツに方針変更したんじゃないかと思ってました」

そう。まさにその通りである。

ではチートイツだと思ったとして。

なぜ当たり牌の【白】ではなく、【中】を切ったんだ?

「ああそれは──。高宮さんが【6マン】を切ったとき、【中】生牌だからです」

あっ。

高宮はこの手。【6マン】を切ったときはこうなっていた。

「多分【5ソウ】切りまではメンツ手も見てましたよね。なぜならチートイツに決まった手なら、
ここで【赤5ソウ】受けもあって場況もいい【5ソウ】は先に切らないので」

「で、次にチートイツに決めて【6マン】を切ったのなら、それは場に1枚切れの待ち頃の牌を持っていたからじゃないですか?」

それは、【白】である。

これが【中】なら──、高宮は【中】を切っていてもおかしくない。
というか、【中】を切るのではないか。

「まあでもこの半荘はこれが最大の後悔ですね。イーシャンテンで【中】【白】も切らずに降りるべきでした。
【中】が通ったとしても、次危険牌引いたらたぶんやめるんですよ。
チートイツなら【白】が危険で、でもそれは確定の読みでもないわけで。
次に通ってない牌引いたら、もう危険牌を2種切る感覚なんですよね。
このペンチャンリャンメンのイーシャンテンでは見合ってないだろうと。
それならもう【中】も切るべきじゃないんですよ」

後悔のポイントが、違う。
私などは、なんで自分が切った【白】を手に持っていてしまったんだ、先に切れば良かった・・・と後悔しそうだ。

「それはないです。他に切っておきたい牌があって、手もまだまだで、全員の安全牌のために持ったものなので。
まあ【6ソウ】3枚目切られていよいよチートイツが濃くなってきて、参った・・・とは思いましたけど」

この半荘、堀は終始手牌に恵まれず、アガリは0回、放銃がこの1回で3着だった。

流れが悪いとか、ツイてないとか。負けの言い訳としては誰でも簡単にこぼすことはできる。
しかし、では堀ほどに相手の手牌に向かい合っている打ち手が、どれだけいるだろうか。

理でもいい、感覚でもいい。堀の領域にはたどり着けなくとも、
言い訳の前に、いくらでもやることはあるはずだ。

堀の麻雀は、観る者を飽きさせない。
よく知る同じ団体の私でさえこうなのだ。

結果はただの3着でも。
やはり堀の麻雀は、私たちに無限の可能性を教えてくれるのである。

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