憧れの人に届け 鼻先をかすめた雷電・本田朋広の一太刀 【Mリーグ2021観戦記12/21】担当記者:ZERO

憧れの人に届け

鼻先をかすめた

雷電・本田朋広の一太刀

文・ZERO【火曜担当ライター】2021年12月21日

街がクリスマスカラーに浮かれる中、Mリーグはレギュラーシーズン折り返しを迎えた。

顔合わせとなったのはこの4チーム。

1位・2位・3位と8位の雷電という構図である。

まだ45試合も残っているとはいえ、雷電はボーダーとなる6位まで560ptほど離れされている。

その苦しい雷電の中で、さらに苦しんでいるのが1試合目に登板となった本田朋広である。

雷電の救世主として期待されドラフト指名を受け、初戦こそ華々しくトップをとってデビューしたものの、その後は思うような活躍ができずにいる。

チームのため、自分のため、なんとかして浮上のきっかけを掴みたいところだが──

開局、本田はこんな手をしていた。

本田はここから【4ピン】を切った。

配牌こそタンピン系だったが、【白】が重なり、この【1ソウ】ツモでタンヤオを見切る。

すぐに【白】をポンして…

5001000のアガリ。

雷電の麻雀としては高打点を追求したいところだが、ツモの声を聞いて迅速にかわし手に移行した結果だ。

「チームの先輩には、想像を絶するほど優しくしていただいている」

と本田は語る。

麻雀に関しては自由に打っていいと言われ、結果に関わらず「良かった」と勇気づけられる。

萩原はよく高級おやつを持ってきて(半分は黒沢のためかもしれないが…)孫を見るおじいちゃんのような目で本田をかわいがっているそうだ。

あまりに良くしてくれいている中で結果が出ないので、プレッシャーも大きくなっているのではないか。

「自分の麻雀はまだまだ成熟しきっていない」

と語る本田にとって「自由」は逆に足かせになっているのかもしれない。

どこか雷電を意識して、どこか面白い麻雀を意識して、これまで歯車が噛み合わなかったからだ。

しかしさきほどの【白】1鳴きからの5001000を見て、少し吹っ切れたような、本当の意味での自由を追求しだしたように感じた。

東3局、親番を迎えた本田。この【發】を鳴くかという場面。↓

新生本田は鳴くかと思われたが…

スルー!

先ほどと違ってこの手牌にはまだ高打点の未来が見えている。

ツモ山に手を伸ばした本田がツモってきたのは…

【5ピン】。そしてこの14枚から【9ソウ】を切った。

形だけなら【7ピン】が不要に見えるが、この【7ピン】にくっつけばメンタンピンの勝負手になる。

その将来を見込んだからこそ【發】をスルーしたのだ!

すぐに2枚目の【發】が打たれる。本田は逡巡して…

ポンの発声。

そして…

【發】ドラ1のアガリ。

上家に座っていた松本はこのなんてことない1000オールを「めちゃくちゃ痛かった」と語っている。

【5マン】をポンしている)

ドラいっぱいの手牌を丁寧に育て上げ、マンガンのテンパイを入れた直後だったからだ。

【發】をスルーし、【7ピン】を残して高打点ルートを残すこと」と、

「そのルートを見切って安い仕掛けを入れること」は相反するものなので、折り合いをつけるのが難しい。

その中で本田は積極的に仕掛けることを選んだ。

現状を打破しようとする気持ちが伝わってくるようだ。

ただ、少し気になったのは…

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