親番にもかかわらず苦しい選択を強いられる園田だったが、その直後にチャンスが訪れた。
15巡目にドラのを引き、小林が長考に入る。
直前に東城がを手出ししており、からの変化・からの変化など、高打点になるパターン含め危険度は高い。
でアガれば満貫ではあるものの、東城の仕掛けも考慮すれば出アガりも殆ど期待できないため、テンパイを崩す打を選択する。
このを選択するまでに、小林はやや時間を使って考えていた。
この間を、園田は見逃さなかった。
「剛さんは降りたに違いない…!」
が4枚見えており、手牌で使っていたことを考えると、この打はかなり対子落としに見える。
先ほどまでは警戒していた小林だが、この巡目だけは何を切っても通る確率が高い。
次巡、園田が引いてきたのは絶好のだった。
「リーチ」
手を崩してまで切らないはずだった発を横に曲げ、力強くリーチ宣言をする。
満貫テンパイまで想定される2人に対しては切るに値しないが、相手が1人になっている今なら、この押し判断も得な選択になっているはずだ…!
さらに自身の待ちであるは、東城・小林が切っているにもかかわらず亜樹が合わせ打ちしておらず山に眠っている可能性も高い。
結果は…
「ツモ」
一発ツモの6,000オールが炸裂…!
追い詰められた状況から針の穴を通すようなアガりを決め、一躍トップに躍り出た。
その後も園田は精密な押し引きを見せる。
南3局1本場では、親の東城に対して一度は切れないと判断したを、長考してを切ったタイミングでテンパイでないと察し、すかさずチーして打! 形式テンパイをもぎ取る。
続く南3局2本場では、最終手番で掴んだ (亜樹の当たり牌)を押さず、5,200は5,800点の放銃を回避する。
これ以上ない神業的な押し引きを何度も見せた園田だったが、最善を尽くしても勝てないのが麻雀の辛いところ。
オーラスのアガり競争に負け、トップを取ったのは東城だった。
1回戦目のたろうもそうだったが、今季のドリブンズはつらい展開の中での戦いを強いられる場面が多く、チームポイントは7位まで落ちてしまっている。
序盤の村上の不調から徐々にポイントを伸ばしているものの、セミファイナル進出のボーダーまでは約ポイント。
切り込み隊長である園田を筆頭に、2022年はドリブンズの逆襲に期待したい。
日本プロ麻雀連盟所属プロ。株式会社AllRuns代表取締役社長。業界を様々なやり方で盛り上げていくために日々奮闘中。Mリーグ観戦記ライター2年目。常に前のめりな執筆を心がけています(怒られない範囲で)。Twitterをフォローしてもらえると励みになります。
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