朝倉の栄光に隠れた
不器用な敗者たち
文・ZERO【火曜担当ライター】2022年1月4日
負けられない戦い… というと、あまりにありきたりで使い古された表現かもしれない。
しかし、新年一戦目に集まった4チームにとっては、まごうことなく負けられない戦いだった。
カットライン下にいるドリブンズ・雷電は、これ以上負けが込むとレギュラーシーズン敗退が現実になってしまう。
6位のPiratesとて足元は寒い。
隆盛を誇っていた風林火山も今や227.0pt。一時期600ptを越えていたことを考えると、ひょっとして… との思いが脳裏をかすめてしまう。
まだ40試合ある、と言いながらも4チームとも余裕のない状況なのだ。
勝又健志・一瞬の勝機
観戦記としてはどうかとは思うが、結論を先に言う。
この半荘は朝倉が配牌とツモに恵まれてトップを取った。
トップの大きな要因として、私は東一局の第一打が全てだったように思う。↓
南家スタートの朝倉は、この配牌からを切った。
(弱気だな)
そう感じる人も多いかもしれない。かくいう私も普通にから切り出しそうだ。
をツモって打。
なるほど、ドラがなのでジュンチャンとチートイツを意識して、半分以上オリの構えか。
さらに次巡。↓
が重なって打。
チートイツ一本に航路をとる。
このような手順によって朝倉の捨て牌は…
なんともド派手になった。
この捨て牌に強く反応したのが勝又だ。
朝倉がを切った同巡、勝又は──
こんな手牌になっていた。
勝又はここからを切らずにと連打。
ド派手な捨て牌の朝倉を警戒した格好。
もちろん今すぐが朝倉に当たるとは思っていないだろう。
ただ自分の手牌がドラ0な上、が3枚打たれて価値が低くなったことから、よもやの高打点放銃を避けたかったのだ。
さらに…
自分が1枚切っているを掴み、打とした。淀みなく摸打を続ける朝倉に、メンホン… もしくはその上の国士無双の可能性まで感じ取り、ノーテンからとの2枚を切っていくのは厳しいと判断したのだろう。
ただ今回はイッツーという打点がくっきりと見えている上、ピンズとソウズが受けになっているならくらい押しても良いんじゃないか… と思うのは観戦者の勝手だろうか。
それとも、負けられないチーム事情が勝又を引かせたか。
結果、朝倉からドラ単騎のチートイツリーチが入るものの… 流局。
勝又はまっすぐ進めていれば→と一発でツモって、ハネマンをアガっていた。
鳴きが入らなかったら… が前提のたらればトークだが、ハネマンをツモっていたらこの半荘は全く違うものになっていただろう。
以降、勝又は一度もアガることはなかった。
この東一局が唯一の勝機だったのだ。
3着 勝又健志 -26.4
一方の朝倉は「良い手と悪い手がハッキリしていて戦いやすかった」と語る。