鈴木たろうが繰り出す打点の鳴き 小林剛が魅せるスピードの鳴き 対極な戦法の2人が作り出した至高の一局【Mリーグ2021観戦記1/4】担当記者:江嵜晋之介

この場合は親の現物を3枚抱えることになるので、たろうがテンパイ気配を見せたときに降りやすくなることがメリットだ。
ただ降りやすくなるのはたろうに対してだけで、亜樹・萩原が攻めてきた場合はアンパイに窮することになってしまうだろう。

対して【6ピン】をポンした場合は手牌に【6ピン】【7ピン】【8ピン】のターツが残ることになる。

【6ピン】が自分から4枚見えているため、【7ピン】【8ピン】は全員に通る可能性が高い。誰が押し返してきても対応ができるため、手を進めつつ安全を確保するバランスが取れた選択と言えるだろう。

ただこの選択にもデメリットはある。それはピンズに対しての情報を他家に与えることだ。
小林は【6ピン】をポンして打【白】、次巡【5ピン】を手出しする。

たろうから見た局面がこちら。

このポン出し【白】【5ピン】の切り順で、愚形を含めピンズの受けが無い可能性が高いことがわかる。
【白】は2枚切れており安全牌だが、【5ピン】は安全牌を切ってでも持っていた牌で手牌に関連している、もしくはくっつきテンパイを狙って単独で持っていたことが予測できるだろう。

仮にくっつきテンパイを狙っていた場合は【5ピン】を切っているのでその周りの待ちは有り得ない。さらに小林は序盤に【1ピン】【2ピン】を手出しで落としており【3ピン】を持っていない可能性が高く、【4ピン】【7ピン】を複数枚持っているパターンも一盃口形からシャンテン数の進まない鳴きをしたことになるので考えづらい。

10巡目、たろうは小林に対して絞っていた【6ソウ】【4ソウ】がくっつき、ターツ選択で【西】の対子落としを選んだ。

小林の仕掛けに対して、【4ソウ】【6ソウ】の2枚を押すのは危険と判断しての選択だ。仮に小林が【6ピン】【7ピン】【8ピン】でチーしてピンズの可能性があった場合、ターツの候補が多いためもしかしたらたろうの選択は変わっていたかもしれない。

この局上がったのは、小林に絞りつつ手を進めたたろうだった。
最終形はカン【5ソウ】待ちになり【赤5ソウ】をツモ。

2,600は2,900オールのアガりでさらにリードを広げる。
それぞれ思考の違う鳴き麻雀がぶつかった見応えのある一局となった。

2人の勝負はオーラスまでもつれにもつれ、最後のアガり競走に勝ったたろうがトップで終局。
ドリブンズは1回戦目の村上のラスを帳消しにして本日プラスポイントで終えることに成功した。

今シーズン屈指の名勝負だった2回戦だが、現在最下位のTEAM雷電萩原は3位と苦しい結果に終わった。
なにかと裏目の結果が出てしまっている萩原だが、今回は全体を通してかなり消極的な選択が目立ったように思える。

印象的だったのは南3局2本場だ。
萩原はこの手牌から打【8マン】を選択した。

ピンズの染め手をやっている下家の亜樹に対して【3ピン】【5ピン】【8ピン】を切らない選択だが、自身も点数が欲しい3着目で既に終盤戦。ここはなんとしてもアガりたい局面だ。
【8マン】の場合はテンパイする牌が8種類あるイーシャンテンになるが、そのうち半分のパターンで場に高いピンズ待ちになってしまう。

タラレバになってしまうが、ここで打【3ピン】としていると10巡目に【8マン】ツモで【3ソウ】【6ソウ】待ちテンパイ。

【8ピン】でリーチに踏み込んでいたとして、13巡目にたろうから放たれたリーチ宣言牌の3sを捕らえることができたのではないだろうか?

リーチをかけてこの直撃に成功していれば、オーラスでたろうのトップ条件は厳しくなり、親番が残っていた萩原にももしかしたら逆転の可能性があったかもしれない。

こうやってタラレバを言うのは簡単だが、チームの状況を考えると攻撃的な選択は取りにくいのかもしれない。しかしここからセミファイナルに出場するためには約600ポイントを縮める必要があり、今日の試合ではそのチャンスが何度かあったように感じた。

番組の最後に土田プロが話していた通り、1月6日の対局では直近ポイントをプラスできているチームと雷電がぶつかる。

あとが無くなってきた雷電がチームのためそしてファンのためにどんな闘牌を見せるのか、6日の対局に注目したい。

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