冴え渡る守備力 チームを不調から救う、朝倉康心至極の一打【Mリーグ2021観戦記2/15】担当記者：江嵜晋之介

萩原は一発目にドラのを掴んでしまい、渋々オリを選択。

萩原がオリたことで朝倉は先ほどまでのロン牌を切ることができた。

結果は伊達が内川に放銃。朝倉は無傷でこの局を終える。

一歩間違えれば東１局に得た点棒を大きく減らすことになっていたが、持ち前の守備力で切り抜けることに成功した。

その後も朝倉は安定した局回しを行いつつ、満貫・跳満を決めさらに加点。

そんな朝倉に追随したのが萩原。
１戦目の鬱憤を晴らすかのように大物手を見事に決め、オーラス時点で朝倉と8,600点差の2着まで詰め寄る。

オーラスは1着・2着をかけた朝倉・萩原の戦い。3着・4着をかけた内川・伊達の戦いという構図になった。

南４局1本場
後がなくなった朝倉、テンパイが遠い手牌から果敢に仕掛ける。
6巡目、萩原が切ったをカンチャンでチー。

次巡、を引き目一杯に構える打を選択する。

他家からリーチが入ったら目も当てられない状態になってしまうが、ここは腹を括って最速のテンパイを目指す。

そして次巡を引きなんと打！

ソーズの形を固定しつつ、安牌の・好形変化を狙ったの両方を残す。

この切り、大きなメリットが3つある。
1つ目が伊達へのアシスト。

伊達は3着の内川と7,400点差なので、満貫出アガリで着順を上げることができる。
伊達に条件を満たさせることで前に出てもらい、萩原の連荘を阻止してもらう算段だ。

2つ目は打点が無いことのアピール。

内川は4着と7,400点差であるものの、2着萩原とは40,000点離れており着順アップはほぼ見込めない。
自身の手がアガれそうな場合はいいが、厳しい場合は朝倉にアガッてもらうか、いっそのこと朝倉の安い手に振り込むことで4着落ちのリスクを回避することができる。

仮に伊達・萩原からリーチがかかった場合に、内川からの援護射撃が期待できるよう布石を打つ意味合いもあっただろう。

そして3つ目は待ちを特定させないことだ。

こちらが朝倉の最終的な手牌。
マンズを２メンツ・ピンズを１メンツ晒しており、役をタンヤオとした場合待ちは高確率でソーズになっていそうな手。
目一杯に構えていればを切るのが少し後になっていたはずだが、そうなるとを跨ぐ両面待ちはかなりケアされる。

対してを先に切ることでソーズの形を読みにくくさせる効果がある。
結果は着順アップが見えるため目一杯に構えていたラス目の伊達がを掴み放銃し終局となった。

試合後半から雲行きが怪しくなった朝倉がだが、なんとかトップのまま逃げ切り2月15日のポイントをプラスにまとめることに成功した。

インタビューで対局中の心情を話す朝倉。
凛とした表情で対局に挑んでいるように見えたが、内心ヒヤヒヤした局面も多かったようだ。

手牌や展開に恵まれた面もあったが、やはりトップが取れた決め手は手牌に溺れない高い守備力だろう。高打点への振り込みを何度も回避し勝ち取ったトップでチームの順位も再び1位に浮上。

残り15戦を切ったレギュラーシーズンだが、依然としてポイントが突出したチームは無く、1位〜6位どのチームも敗退の可能性はある。

引き続き終盤戦から目が離せない日々が続きそうだ。