持てる者と持たざる者の明暗
緊迫の一戦を制した
松本吉弘のベストバランス
文・東川亮【月曜担当ライター】2021年4月26日
朝日新聞Mリーグ2020セミファイナル、最後の一週間の火蓋が切られた。
現状5位のEX風林火山・6位のTEAM雷電にとっては、もはや1試合たりとも落とせない。
しかし麻雀のリーグでは、勝っているチームに自由が許され、下位のチームには程度の差こそあれ制限が課される。
それが下位陣に壁となって立ちはだかるのは、よくあることだ。
4月26日 第1回戦
東家:内川幸太郎(KADOKAWAサクラナイツ)
局面が大きく動いたのは東3局1本場。
この局は勝又が待ちリーチで先手を取る。
しかし親の瀬戸熊はカンを埋めて勝負形、無スジのをためらいなく打ち抜いた。
こうなれば、少なくとも最終盤までは全面対決の構えだ。
瀬戸熊がテンパイ、しかも受けの少ない方から埋まった。
の5メンチャンリーチで赤赤にタンヤオか平和も絡み、最低でも満貫スタート、高目ツモなら6000オールはおろか8000オールすらあり得る。
他の2人がオリてのリーチ勝負ならば、問題になるのは待ちの広さではなく山の残り枚数。
ここは見た目同様、瀬戸熊の待ちの方が多く残っていた。
先に積まれていたのは瀬戸熊のアガリ牌、掴んだのは勝又。
ライバルを叩き落とす12000(+1本場)の直撃で、瀬戸熊がトップ目に浮上する。
東4局、トップ目の瀬戸熊に早いテンパイが入る。
3巡目でメンツ手の単騎待ち、ここは一旦ヤミテンに構えた。
マンズやピンズなら多くの牌で待ちが増え、役がつくものも多い。
はツモ切り。
5巡目、を引いたところでリーチ。
待ちはに取らず、単騎続行とした。
は他3者からすればオタ風でドラでもなく、使いにくい牌。
それが出ないということで、山に残っている、あるいは早い巡目ならツモ切られると読んだのか。
ただ、はこの時点で内川の手に2枚あった。
現物がなくなれば選ばれることもありそうだが、山には残り1枚だけ。
松本や勝又が前に出るなら切られるが、アガリにくい牌であることには変わりない。
そこに対し、親番の勝又が必死の仕掛けで粘る。
しかし、両者の間隙を縫って追いついたのが松本だった。
リーチを受けた時点では1メンツしかなかったのだが・・・
ツモが利き、それほど危険な牌を打たずに瀬戸熊の現物待ちでテンパイ。
打点もタンヤオドラドラ赤赤で8000以上が確保されている。
これを瀬戸熊から捕らえて8000。
トップ目からの直撃で、自身がトップ目に浮上した。