ユニバースは忘れない 最高の笑顔で過ごせた火曜日の夜を【Mリーグ2021観戦記3/1】担当記者:ZERO/沖中祐也

しかしこの【9ピン】をスルーしたことにより、半荘の行方は大きく変わっていく。

【3ピン】をツモって打【中】、2000点のテンパイだ。

しかし、次にツモってきた牌が…

ドラの【西】だった。

日向の手が止まる。

この【西】を使えば
ダブ【南】ホンイツ・ドラ2
ダブ【南】トイトイ・ドラ2

などでハネマンが狙えるかもしれない。
ラス目の松ヶ瀬とはハネマンツモでしか変わらない。

日向の視線が鋭く光る。

ここからラスになる確率もトップになる確率もそんなに差がないのであれば…

このメンツ崩しが見合うはず…!

こうして、すぐに終わっていたはずの局は、もつれることになった。

【5ピン】を暗カンしている松ヶ瀬が裏ドラにかけたリーチを打つと…

日向が魂のハネマンテンパイを入れる! ツモれば伝説的なトップになる!

勝つのは日向か、松ヶ瀬か

「ロン」

最後の声を上げたのは

ドラの【西】をポンしていた雷電・瀬戸熊だった。

【西】ドラ3・赤2の12000は12300。

雷電に1/25本田がとって以来の、瀬戸熊にいたっては11/2以来4ヶ月ぶりのトップが転がり込んできた。

99.999%敗退するであろう中での、競技の意味では価値の低い1勝。

いや…

1勝に価値の大小なんてなかった。

雷電ユニバースがずっと待っていたという意味では、むしろ今までより大きな1勝と言える。

この日「瀬戸熊さん」というワードは、日本のトレンドになった。

雷電はこの日、2戦目の黒沢もトップを取った。

上位陣には何の影響もない、敗色濃厚チームのデイリー連勝。

しかし雷電ユニバースは忘れないだろう。

最後まで雷電らしく戦ってくれた戦士たちを。
最高の笑顔で過ごせた火曜日の夜を。

その笑顔がもうすぐ見れなくなる寂しさと、悔しさを。

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