ツモの瞬間、小さく強く響く声そのとき、近藤誠一は己の力を卓上に示す【Mリーグ2021観戦記3/3】担当記者:東川亮

2つ鳴かれた松本。小林に遅れを取っているのは明らか。

それでも、何もしないわけにはいかない。少しでも自身の手を進めるカン【2ピン】チー。これは、「アガリに向かっていることを小林に見せる」という、大事なアクションである。小林を簡単にオリさせない、そして何かを起こすために、松本は動いた。たとえ、手の内がバラバラであったとしても。

その後、小林が【8ソウ】をチーしてドラの【西】切り、テンパイ効率をマックスに受ける。こうなればおそらく、裸単騎も辞さない。

近藤も【3ピン】チーで参戦。こちらはアガりさえすればいい。もし小林に放銃したとしてもほぼ間違いなく安手、前に出るのにそれほどリスクはなさそうだ。

松本は役牌重なりを最も期待していたと思われるが、123の三色方向にツモが伸びる。とはいえまだまだ厳しいことに変わりはない。

テンパイ一番乗りは近藤。【2マン】【6マン】のシャンポン待ち。

【2マン】は、松本には入る牌、そして小林からは出て行く牌だった。

松本があまりの手の悪さに何もしなければ、小林も3つ目の仕掛けは入れず、様子を見ながらある程度の守備も考えつつ手を進めていたかもしれない。自身のアガリにはならなかったものの、やるべきことをしっかりとやった松本が、最後に2着を確保した。

試合の最後に映し出されたのは、眼光鋭い近藤の表情。一仕事を終えた男の顔である。フェニックスの大黒柱が、重厚な麻雀で存在感を発揮した一戦だった。

ただ、試合後の「三人娘家出」の下りがなんだったのかは、最後までよく分からなかった。それにしても、試合中とのこのギャップよ。気になる方は、ABEMAプレミアムでご覧ください。

  • この記事が気に入ったら
    フォローをお願いいたします!
    最新の麻雀・Mリーグ情報をお届けします!

  • \近代麻雀新刊&おすすめ/