堀慎吾は本当に
MVPを諦めたのか?
文・越野智紀【金曜担当ライター】2022年3月4日
【第1試合】
東家:伊達朱里紗(KONAMI麻雀格闘倶楽部)
南家:勝又健志(EX風林火山)
西家:鈴木たろう(赤坂ドリブンズ)
北家:堀慎吾(KADOKAWAサクラナイツ)
最近見始めた人の為に
★前回までのあらすじ★
セミファイナル進出を目指した各チームの厳しい包囲網にかかり、連続3着と抑え込まれてしまった7位赤坂ドリブンズ。
インタビューでの園田選手・村上選手の悲痛な表情は、負けられない試合を落としてしまったことを意味していました。
レギュラーシーズンでの敗退の不安が減った上位チームは、セミファイナルを有利に戦える4位以内に入ることやチームから個人首位の選手を出すことへと目標が変更され、局面は各チームの好調な選手同士がぶつかる終盤戦へ…。
…といった感じです。
一気に苦しくなったドリブンズですが、当然諦めるわけもなく
この試合は全Mリーガーの中で最も諦めの悪いと思われるたろう選手を起用します。
他チームの包囲網が緩んだ隙を突いての大トップが欲しいところです。
KONAMI麻雀格闘倶楽部からは個人3位の伊達選手が出場。
今年からチームに加わった新戦力ながら半荘最高スコアと個人ポイントの二冠が見えています。
EX風林火山からは勝又選手。
前回出場した時のトップで作ったラス3回分の貯金が底を突いたことで再度登場となりました。
昨シーズン見せた終盤戦の強さを発揮して、チームを4位以内でセミファイナルへと連れていくのが目標です。
KADOKAWAサクラナイツからは個人7位の堀選手。
本人が「レギュラーシーズンラスト登板になりそうな予感」と言っていたので、MVPは諦めたんですか? と確認したら「いや、さすがに確率が違いすぎるんで沢崎さん(現在2位)優先ですね」と冷静なコメントでした。
4人合わせて+829.1Pの好勝負は東1局
まず微妙な手牌をもらった勝又選手。
本来麻雀はアガることが楽しいゲームです。
最初は誰しもがアガリを目指して手を進めていくのですが、先手を取られて即ベタ降りなんてことは頻繁にあります。
悲しいけれど、それも麻雀です。
他家との比較でテンパイまでの早さで遅れを取りそうと判断した時には、後手を踏んでも押し返す価値のある手を狙うと常々教えを説いている勝又選手ですが
ここでは切りと、応用編を見せました。
『後手を踏んでも押し返す価値のある手を狙う』の基本編は、安くて中途半端に早い手順は見切って安全牌を抱えて守備を重視しながら上手くいったら高打点といった手順を踏むことです。
基本編の考えだとドラ側のは必要そうに見えましたが
ドラを1枚引いたところで面子手では勝負にならないと判断し、を切った後もと切ってチートイツ一本の構え。
これならドラを引いても問題なく、やの場況が良いと誤解した相手がターツ選択を間違える可能性もあります。
次巡の切りもチートイツには見えないように工夫して、相手の山読み狂わせる丁寧な手順です。
数巡後たろう選手がくっつきの選択で切るのですが、勝又選手の手順はこういう選択に影響を与えることができます。
結果はたろう選手の満貫ツモアガリで勝又選手の手順は徒労に終わるのですが、「努力したものが全て報われるとは限らん」のも麻雀です。
東2局。
今度は堀選手が後手用の手順で切り、安全度を高めながら一通を遠くに見ています。
たろう選手のポンを見て
を先に切り、安全牌のとを手に残す守備重視の構えです。
リスクを軽減しながら手を進め、形が整ってきたところでをポンしてのくっつきのイーシャンテン。
攻撃は最大の防御とばかりに、先にアガって失点を回避しようと今度は攻めに出ます。