俺は絶対に諦めない!チームと自身の命運を賭けたU-NEXT Pirates石橋伸洋 勝負の一戦【Mリーグ2021-22 セミファイナル観戦記4/7】担当記者:ゆうせー

長く積まれている山の中で、たった1枚の【6ソウ】だった。

「終わった」

モニターの前でそう思った方も多いのではないだろうか。

痛恨の12000放銃。

だが、

石橋は、諦めていなかった。

東2局2本場は、

ABEMASの総大将、多井が動く。

堀から出た【赤5ソウ】をチーして、

【東】とする。

赤赤ドラで満貫は確定。タンヤオにすることで、瞬間的な【3ピン】【7ピン】の受け入れだけでなく、【4ピン】【5ピン】での変化や【6ピン】【8ピン】の重なり、さらにはマンズの伸びにも柔軟に対応した一打だ。【5ソウ】などソウズの真ん中を引いて、今はないところから1ブロック作ることも可能である。

この仕掛けを見て、石橋は、

【白】を落として迂回する。

ABEMASとPiratesは、残り4試合全てぶつかることになる。この試合が始まる前、2チームの差は約125ポイント。

Mリーグルールはトップラスで100ポイント以上が動く。ここで現状3着目の多井に甘い牌で放銃し、チャンスが潰えてしまわぬよう、石橋は点数がなくともじっと我慢をし、チャンスが来るのを待った。

続いて【6ピン】も合わせ打つ。

「チー」

567の三色で仕掛けた魚谷の、

【8ピン】を多井がとらえる。タンヤオ赤赤ドラドラ、8000点のアガリ。

続く東3局は、

堀の6000オールが飛び出し、

さらには返す刀で、堀は魚谷から三色赤の7700は8000のアガリを決める。

大物手が飛び交う中、

失点が続いてしまった魚谷。彼女とて負けられない。現在4位のセガサミーフェニックス。前回、茅森と東城が2着1着で繋いでくれたバトンを、なんとしてもあと2戦繋いでいきたい。

東3局2本場で、魚谷は、

前巡に浮かせた【2ピン】を重ねて打【6マン】。縦の手に決め打つと、

すぐさま【4マン】をキャッチ。七対子ドラドラのテンパイを入れ、

次巡、【北】単騎でリーチに打って出る。

このリーチを受けた石橋は、

タンヤオ赤赤の手広いイーシャンテンだった。

無筋だろうと、迷うことなく押していく。

こんなにも険しい石橋の表情を、私は見た記憶がない。

石橋は多井が合わせた【6ソウ】をチー。【4ソウ】【7ソウ】待ちのテンパイをとった。【4ソウ】なら456の三色がついて満貫だ。

「赤があるのなら副露に赤を組み込んでいるはず」という認識を逆利用する石橋。赤を見せないことで手にソウズターツが残っていないと読ませるため、赤を使わずに【5ソウ】【7ソウ】で鳴く石橋。【赤5ソウ】を切る可能性がないのなら有効な戦術だ。このあたりの芸も細かい。

ぶつかり合う二人の選手。その後ろには、チームの仲間やスポンサー、そして応援しているファンがいる。

Mリーグが始まるまで、麻雀は「自分が打つもの」でしかなかった。そんな方も多いのではないだろうか。

自分の想いを選手に託して、ともに泣き、ともに悲しみ、そしてともに喜びを分かち合うことが、こんなにも日々を彩るなんて、数年前には思いもしなかった。

そんな人々の想いを背負っての、めくり合い。

アガるのは魚谷か?

石橋か?

石橋だ! 安目ながら、1000-2000のアガリ。

これでまだ、2~4着の行方は分からない。

東4局、魚谷に大物手が入る。【4マン】のチーから入って、くっつきのイーシャンテンに。

そこへ多井の親リーチが飛んでくる。

これを受けた石橋、

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