【西原理恵子 & 山崎一夫】手積みの麻雀はアコギだった…!?

手積みの麻雀は
アコギだった

半世紀以上前、小島武夫プロがテレビでイカサマを公開してから、それを真似る人が激増しました。
他にもできる人はたくさんいたけど、飯のタネ公開するワケもないし、もしやったら同業者の恨みを買う可能性もある。

かつて私がパチンコの開店プロのやり方を公開した時は、コワモテのプロ団体の人たちに脅かされました。
当時そうした情報は百万円くらで売られており、買った者が再販売しないように、しばらく監視者が付いてたほどです。

小島武夫プロに不満を持った裏プロもたぶんいたでしょうね。
私の麻雀の師匠のパクさんもその1人。

「見るからにヘタクソなヤツがテレビのマネをする。その積み込みを自分が利用できるのはいいが、そいつがバレて卓が割れるのはまずかった」

パクさんの生まれつきの身体的な才能は、5本全部の指が極端に太くて牌を握りこんでも見えない。

「パクさん末端肥大症ですね」

「俺の末端肥大症は指だけじゃ無いぞ。隣のバーのママに聞いてみろ。ガハハ」

笑い方が小島プロみたいだったりして。
鬼瓦みたいな顔をした人でしたがなぜかバーではモテてたと。

さて、昔はマナーが今よりもゆるくて、多少のズルは、「見抜けなかったほうが悪い」と見逃される傾向がありました。
リーチしたら先に裏ドラを見ていい。

ここでも彼の身体的才能が発揮されます。
「どーれ」
リーチ後、すぐに2トン4枚持ち上げて裏ドラを確認。

で、本来のドラが無くても隣の牌がドラになってれば、クルッと回転させてワン牌に戻す。
「おっと一発ツモの裏イチでマンセン!」(マンガンのご祝儀千円)

その一発ツモだってどこから持って来たんだか分かりゃしない。
なんせ手積みの時代の末端肥大症ですから。

「リーチ」

私がタバコを咥えながらリーチ棒を供託。

「ほらよ」

下家のパクさんがステンレスのライターで火を点けてくれた。
で、それを私の手牌の横を滑らせるように動かしたんです。

「あ、今ライターに映したでしょ」
「それ純カラだぞ」

親のパクさんのリーチに私が追いかけ。

「山は生意気だなあ」

上家のパクさんが私の手を覗き込む。

当時はリーチ者どうしは見ても構わない所が多数派。

パクさんのツモ切り一萬を私がロン。

 

【2マン】【3マン】【4マン】【5マン】【6マン】【6マン】【6マン】【2ピン】【3ピン】【4ピン】
【2ソウ】【3ソウ】【4ソウ】

一発【1マン】 ドラ【7マン】

 

詳しくは覚えてませんが、とにかく超安目でした。
後で考えると、ツモ切りではなくて入れ替え差し込みだったに違いありません。

 

博打場で少し
教わったこと

パクさんの友人の証言。
この方は元熊本日日新聞の記者だそうですが、雀荘でパクさんと知り合い、悪い道に足を踏み入れたと言う。

「あいつと雀荘荒らしをした時に言われたのは、俺のヤマを信用しろだった」

積み込みは本来自分のためにしますが、ツモ順がズレた時は仲間に使わせようというもの。
例えばパクさんのヤマに差しかかった時に、チーでヤマがズレる。

トイメンが友人だとパクさんもチーを入れて、友人に自分のツモを流すとか。
この場合、ワキに流れることも考慮してワキのミスを誘う。

たとえば五萬ツモ次に二萬をツモ切りすると、実は234の三色が濃厚だったり。
濃厚というのは、ヤマに3メンツ近く積み込むのは素人だけで、ムダだしバレるリスクが高すぎる。

実は1メンツだけでも圧倒的に、しかも目立たずに有利になります。
パクさんは私たち若者を相手にたまにイカサマをやってるようでしたが、嫌われてはいなかった。

「マズい、パクさんのヤマにかかった、誰か鳴け」
「チー」「ポン」

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