結果はまたも滝沢の勝利。
結ばれた唇。開けられた手牌を見つめながら、丸山は何を思うのだろうか。
東4局、
親番である松ケ瀬の手がいい。いいと言うか良過ぎる。
前巡に門前での打点を考え、を打ってドラを残した松ケ瀬。ソウズを引き入れてテンパイしたここは、
ダマだーーーー!!!!!
牌譜で見てみよう。
ピンズに注目して河を見ると、対面の丸山と下家の滝沢が1枚も切っていないことが分かる。ピンズは高いという判断だ。
また、これはYouTubeで松ケ瀬が牌譜検討をしているときに聞かせてもらったことだが、
「ダマにしておくと、テンパイではないと判断した他家から打ってもらえる。これが大きい」
という思考もあったそうだ。確かに、リーチなら皆警戒するが、ダマなら「が松ケ瀬に当たるから止めよう」とはなりづらい。
もともとダマでも、ならツモるとハネマン。場況をふまえて、アガリ率を最大に保つためのダマ判断だ。
少し話は逸れるが、1半荘丸々、Mリーガーらトッププロの思考を直接聞かせてもらえる場があるなんて、本当に素晴らしい時代になったと感じる。
「繊細なる超巨砲」と呼ばれる松ケ瀬。
このダマテンがあまりにもきめ細やかだったことから、実況の日吉が、
「内川さん、『超繊細なる巨砲』なんですよ! 本当は!」
と呼び名にアレンジを加えていた。
しかし、解説の内川は、
「そうなんですか」「なるほどー」
と軽く受け流していたので、この新しい呼び方は定着しないと予想される。
このダマテンに飛び込んでしまったのが、
丸山であった。
安全なをあとにまわして、先にを処理しようとしたところに、
「ロン」
無情にも松ケ瀬の声がかかる。
開かれた手牌を見つめる丸山。
「12000」
厳しい。
しかし、
丸山の心は折れていなかった。
東4局1本場、
対面の松ケ瀬からリーチがかかる。
丸山はドラがトイツだが、苦しい形が多い。
なんとか追いつけるか…
追いついた! 三段目だが、ドラ3の満貫テンパイだ!
丸山最後のツモ番にいたのは、
危険牌のだった。やめてもおかしくない牌だ。どうする。
丸山は、
「リーチ」
!!
なんとツモ番なしリーチに踏み切った!
手牌変化は無くなった。それなら松ケ瀬が掴んだときにリーチと一発が上乗せされる方がいい、という判断だ。裏ドラが乗る可能性もある。