渋谷ABEMASが生んだ超絶バランサー 白鳥翔が作り上げた「究極の一局」【Mリーグ2022-23観戦記11/10】担当記者:ゆうせー

この魚谷の手格好から、先ほど切られたばかりの【發】は止まらない。

「ロン」

見事な切り返しを見せた白鳥。リーチ一発役牌の5200は5500をアガって、東場をトップ目で折り返す。

南場も各選手の選択が光る。

南1局は、魚谷が【2ソウ】とダブ【南】を果敢に仕掛けて、めっちゃ高めの【發】をツモ。

ホンイツダブ【南】【發】赤で、3000-6000のアガリとなった。

南2局は、村上が動く。


カン【6マン】をチーして、2枚ある【2ピン】を先に切っていく。

今季は鳴きへの意識が高い村上。

トイツ3つを役牌とドラに決め、打点と守備を両方確保する絶妙のバック仕掛けだ。

ここに向かってくるのは、

イーシャンテンの堀だ。【1ピン】に続いて【4マン】も切っていく。
456三色をにらみつつ、下家の第一打【8マン】を見てのペン【7マン】の受けも残しながらの進行だ。

先にテンパイを入れたのは、

堀だった。狙いの【7マン】は筋にもなっている。

そこへ、

村上が追いつく! 【白】も仕掛けていて、シャンポン待ちのどちらでアガっても満貫だ。

魚谷のもとへやってきたのは、

【7マン】であった。

3着目の親番で、筋の【7マン】をおさえるのは難しいだろう。

ここはアガれるターツを選び切った堀に軍配が上がった。

リーチ赤裏、堀が5200点をアガって3着に浮上する。

ここからもつれるかと思われたこの半荘は、南3局に、

白鳥が4000オールで全てを持っていくこととなった。

今宵、渋谷ABEMASでの100戦目を迎えた白鳥翔

以前から多角的な視点でバランスの良い一打を打ってきた白鳥だが、大舞台での経験を積み重ねることで、とんでもなく高いレベルで読みと選択が融合してきているのを感じる。

この日はまず、東3局に、

ここから第一打を【5マン】とする。ドラを絡めた123三色と、純チャンが狙いだ。

5巡目には、

【7ピン】を1枚外して手牌をほぐしていった。

浮かせている【2マン】【2ピン】【7ピン】が端に伸びれば、純チャンに必要なブロックは足りる手だ。

一方で、純チャンに【7ピン】は2枚要らない。全員が役牌を飛ばしながらストレートな切り出しをしていることから、受け駒としての【東】を抱えながらの進行を選んだ。攻守の比率に優れた、いい選択だと感じる。

この局は、アガれはしなかったものの、テンパイをとって親権を維持することに成功した。

一方で、似た場面の、

南3局1本場ではここから、

ツモ切り。狙いはまたしてもチャンタ【2ソウ】待ちへの布石を打っていく。【7ソウ】待ちもほんの少しはマシになるか。

続いて、

堀の仕掛けが入ったのを見て、トイツで使うとチャンタにならない【3マン】を外し、

そのまま自然に連打。

というように、「役を追って手牌価値を高める」狙いと「守備意識」の二つが、絶妙なバランスでマッチしているのが一連の打牌からも見て取れる。

道中で紹介した【發】スルーからの切り返しは本当に素晴らしかったし、それも含めて「見るたびに上手くなっている」と思える。これから白鳥がどこまでも強くなっていくように感じられ、「末恐ろしさ」さえ私は覚える。

そしてトップ目で迎えたオーラスは、


【2ピン】を鳴いて、

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