無言の意志疎通、裏切りと信頼の群像劇【Mリーグ2022-23観戦記11/22】担当記者:越野智紀

その後、絶好の【6マン】ポンが出来た魚谷選手。
他家から見て魚谷選手の仕掛けがハネマンになるケースが

【2マン】【2マン】【2マン】【5ピン】【赤5ピン】【4ソウ】【赤5ソウ】 ポン【6マン】【6マン】【6マン】 チー【6マン】【7マン】【8マン】

こういったドラ暗刻で赤雀頭の赤跨ぎといった形しかなく、【2ソウ】で放銃しても最大打点がタンヤオドラ4の満貫まで。
【2マン】【2ピン】【8ピン】【2ソウ】【8ソウ】といった2・8の牌は亜樹選手が安全に差し込める牌になりました。

「…亜樹さん、お願いします」

その時の亜樹選手の手牌。
変化するソーズも、差し込めそうな2・8牌も引かず

「気持ちは伝わったけど… 魚谷さんごめん、持って無いんだわ」

良形変化に恵まれなかった亜樹選手に【赤5ピン】がやってきて、一瞬【1ピン】に手がかかり動きが止まります。

【赤5ピン】が見えたことで魚谷選手にピンズで放銃してもハネマンの可能性が消滅。
【1ピン】単騎よりは【5ピン】【8ピン】のほうが良い待ちでしたが、魚谷選手に差し込める可能性も考慮して

【1ピン】単騎待ちを継続。

亜樹選手は魚谷選手に降りてほしくないので、

「亜樹さんの今の【5ピン】、もしかしたら差し込みに来てくれている!」

そう期待をしてもらったほうが都合がよく

「私がソーズの多面待ちになるまで降りちゃダメよ」と、こちらは後でバッサリ切り捨てる構え。
これが真剣勝負の面白さです。

この【5ピン】切りを見て追い詰められたのが、魚谷選手と競っていた親の白鳥選手。
亜樹選手が手を崩して差し込みを始めてしまえば、自身は3着濃厚な状況。

精一杯存在の証明をすべく危険牌をプッシュ。

「仲林さん… 僕は連荘するんで、もし魚谷さんに危険牌掴んでも打たないで次の局に賭けてください」と、今にも終わりそうな親番の運命に抵抗します。

その白鳥選手がメッセージを送った仲林選手にテンパイ。

満貫をアガれば4着から2着に浮上する仲林選手でしたが、この手は打点が足りてない。

「止めてくれぇぇぇぇ」祈る白鳥選手。


仲林選手の選択は【5ピン】切りで放銃回避。

【5ピン】【5マン】と最初は差し込み狙いかと思ってた亜樹選手が安全牌をツモ切り続けるのを見て

「あれ? 亜樹さん自分でアガリにきてるんじゃない?」と、察した雰囲気の魚谷選手。
もう自力で【2ソウ】【5ソウ】引かないとダメかと思っていたら

仲林選手に一盃口がついてツモれば3着、さらに裏も乗れば2着になるテンパイが再び入ります。

しかし【5ソウ】だけは絶対に切れないと【4ソウ】切り。

簡単には負けないと、粘りを見せます。

終盤に形式テンパイを入れた白鳥選手。
このチーが引き金になって差し込みが入る可能性もあるので、まだ油断は出来ません。

最後のお願いとばかりに【6ソウ】を押してテンパイを主張し、亜樹選手からの差し込みを願う魚谷選手。

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