1月30日(月)の第2試合、
U-NEXT Pirates・鈴木優は3フーロのホンイツにドラのを切った。
この押しに仰天したのは観戦者だけではない、チームメイトの全員が立ち上がって叫んだという。
しかし、は通った。
通って、優は貴重な南場の親番を守り切った。
いったい優から見えていた景色はどのようなものであったのか?
この局仕掛けていた相手、赤坂ドリブンズ・村上の動向を振り返ってみよう。
7400点持ちとダンラスなので国士を見ながらマンズを切り飛ばし、
4巡目にが重なって役役になった。
三元役、ソーズホンイツも狙ってここから切り。
そしてすぐに上家から出たをポン。
ここから切りとする。
このとき村上の上家はセガサミーフェニックス・東城りお。
現状46400点持ちトップ目なので、村上の捨て牌を見て、ソーズホンイツなら手を進めてくれそうなと下ろしていく。
しかし村上は鳴けるをスルーした。
を鳴いていてとあるので、村上の点棒状況、チーム状況としては、を重ねての三元役はまだこだわりたいだろう。
ところが次巡にも東城がを抜く。
場には4枚目になった。
たまらず村上もチー、打とした。
そのまま巡目は進み、村上がを重ねて打。
は全員の現物で持っている牌である。
ただこのとき──、村上の打牌には少々の時間があった。
これこそが対局者同士でしかわかり得ない間であり、優はそういう対人情報を決して見逃さない打ち手なのである。
「1秒で見抜く麻雀心理術」という優の著書がある。
麻雀プロの戦術書としては珍しい、相手の動作や心理に注目した内容の本だ。
もちろん優はメンゼン手順、仕掛けの構想なども掛け値なく素晴らしい選手である。
しかし、敢えてその特異性、Mリーガー随一の特長を挙げるのであれば、
人間としての相手選手の動向を読む、麻雀メンタリストとでも呼ぶべきタイプの打ち手だと思う。
村上の、場に2枚切れ切りの時間は、待ち確認や選択の間ではない。
ノーテンで、場を見渡して他の牌を残している可能性が高いのだ。
それを見越してか、優は村上が張っていれば危険なとツモ切って行く。
読んでいる。村上は、張っていないと。
そしてを掴む。これは自身で第1打で切っている牌だ。
村上の手牌は字牌がまだあるのは間違いない。ソーズだけでは河状況からターツが足りない。
ポンされてもこの手牌なら戦えるはずだ。
優は切り。
村上がポンだ。
村上は打としたがまだ張ってはいない。
ここで優は上家に打たれたに、渋々のチーテンを取る。
さすがに終盤過ぎる。超勝負手であったが、この親番が落ちてはトップはまず望めなくなる。