追い続ける期待値　尽くし続ける最善　園田賢、伸ばしたその手の先に　光は見えているか【Mリーグ2022-23観戦記2／3】担当記者:後藤哲冶

そしてその同巡。
多井が高宮の当たり牌を掴んでしまう……。は園田と堀に通っている。
多井は跳満を打っても着ダウンが無い。当然真っすぐここまで手組をしてきたので、このも止まるわけがない。

ドリブンズの夢は絶たれた。
またしてもギリギリのところでトップには手が届かずに――

……何が起こったのか、一瞬理解できなかった。
この麻雀星人には一体何が見えているのか。
異次元の止め。

ロジックは、ギリギリわからなくはない。
高宮が園田に対して強いを切っていることから、テンパイ濃厚。
自身の手は少し苦しく、ドラのも浮いている。

なので自分がアガりにいくよりも、園田が高宮に5200以上の放銃で２着へ上がる可能性があるから、やめた。

言葉にすればそれだけのことだが、やはり常軌を逸している。
９ｓは手の内に残すとなるとほとんど自分のテンパイが苦しくなる牌。
高宮と園田の点差は4300点。テンパイノーテンでは変わらないので、巡目が進めば進むほど、高宮はヤメやすくなる。

そうなれば、園田の１人テンパイで局は終わってしまうだろう。

それでも、多井はこのを打たなかった。この神業とも呼べる多井の打牌がもたらしたのは――

ドリブンズが喉から手が出るほど欲しかった、トップの座だった。

最終局面、園田にドラので放銃となったのは、堀だった。

5

自分が真っすぐかつ、ダマテンであろう高宮に放銃率の低いを選んだ堀は、「ドリブンズが上の方が良い」と口にした。
もちろんセミファイナル進出のみを目標にするならドリブンズは下にいてくれた方が良いが、堀が目指しているのはあくまで優勝だ。
そのためにも、上位にいる格闘倶楽部のポイントを伸ばすことを嫌った形。堀らしいとも言える力強い言葉だった。

なんとかトップを掴み取った園田。
ギリギリの状態ではあるがなんとかチームの望みを繋いでいる。

普段はどこかおちゃらけた振る舞いが似合う園田だが、その性格は間違いなく今のドリブンズの精神的支柱ともなっているだろう。
もちろん、楽観視はできない。
それでも。
期待値を追い続けるドリブンズなら。
最善を尽くし続けるこの男なら。

絶望的状況をひっくり返してくれるのではないかと、思えてならない。