もしも内川幸太郎が「手順マエストロ」じゃなかったら【Mリーグ2022-23観戦記2/13】担当記者:江崎しんのすけ

もしも内川幸太郎
「手順マエストロ」
じゃなかったら

文・江崎しんのすけ【月曜担当ライター】2023年2月13日

第1試合

東家:日向藍子(渋谷ABEMAS)
南家:萩原聖人(TEAM雷電)
西家:内川幸太郎(KADOKAWAサクラナイツ)
北家:伊達朱里紗(KONAMI麻雀格闘倶楽部)

レギュラーシーズンも残すところ各チーム20試合となった。
全試合が94試合だとすると約8割を消化したことになる。

「麻雀に例えるなら南3局、ラス前に差し掛かったくらい」

実況の日吉プロはそう例えていた。麻雀ユーザーにとってこれ以上わかりやすい例えはないだろう。

南3局(ラス前)といえば、各プレイヤーが方針を固める頃合いだが、各々の方針がぶつかることで思いもよらぬ展開に進むこともある。

この試合でも、事件は南3局で起きた。
順を追って振り返っていく。

東1局、4巡目、サクラナイツ内川は選択を迫られていた。

【8ピン】が暗刻になり、イーシャンテンになったところ。
しかし一盃口に必要な【2マン】は既に2枚切れていて見た目枚数であと1枚しかなく、ドラの【5ピン】も出ていく形だ。

ここはカン【2マン】を払い、新しいターツを作りたいところだが、内川の選択は...

【3ソウ】だった。ドラの【5ピン】を使い切るために打【6ピン】で形を固定しつつ、【3ソウ】の周りでターツを作っていく手段もあるが、シンプルにイーシャンテンとする。

【3ソウ】のメリットは、【6ピン】の周りを引いたこの形をキャッチすることができる点だ。
孤立牌のくっつきで考えると、【3ソウ】よりも【6ピン】の方が多面張を作りやすい。

狙い通りピンズで新たなターツを作り、カン【2マン】を払っていく。

そしてマンズが埋まり、【4ピン】【7ピン】【6ピン】待ちでリーチをかける。

この3面張、見た目ほど山に当たり牌は生きていなかったが、美しい手順にツモが応えてくれる。

残り1枚となっていた当たり牌を一発ツモ!
2,000-4,000のツモアガりとなり、内川が一歩リードする。

下位チームが迫ってきている今、少しでもポイントを増やしたいサクラナイツにとって幸先の良いスタートとなったが、そんな内川の前にこの選手が立ちはだかる。

伊達だ。

今年も抜群の安定感を見せる伊達は、先日のトップでとうとう個人成績1位にまで上り詰めた。個人3連勝がかかったこの試合でも、圧倒的な破壊力で他を蹴散らしていく。

東2局では、リーチ平和ドラ・裏をツモり、内川と同点のトップに立つと

東3局にリーチ平和赤赤・ドラ・裏の3,000-6,000をツモり内川を引き離す。内川が親被ったため、その差は20,000点まで広がった。

伊達がアガった2局とも、他の選手にも勝負手が入っていたが、最後の1牌が伊達を選び続ける。KONAMIの「鬼姫」に追い風が、止むことなく吹き乱れる。

終盤、問題の南3局に突入した時点での点数状況。

親番の内川はトップの伊達まで15,400点差なので、トップを狙うなら親番での加点はぜひとも欲しいところ。

しかし3着目の日向とは2,400点差なので、いつでも捲られる可能性があるどころか、4着の萩原とも14,200点差なので、親被りの可能性を考えると、ここから4着になる可能性も勿論ある。

2巡目の内川の手牌。ドラもあり形も整っているため、アガりも十分に狙える。

中打点をアガっておけば、トップにはならないものの下から抜かれる可能性が減るので、その後が攻めやすくなる。

直後、場が動き出す。

2巡目、ラス目の萩原が1枚目の【白】をポン。
捨て牌が【2ソウ】【5マン】とやや変則的に見える。打点が欲しい萩原が仕掛けたとなると、ピンズのホンイツや他の役牌が絡んでいると見ていいだろう。

6巡目に【6ピン】を引き、ピンズがリャンカンになる。
【9マン】が1枚切られているので、打【9マン】とする。

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