ここで、ラス目のたろうからドラ単騎のリーチがかかる。
一発や裏+ツモによるハネマン狙いのリーチだ。ドリブンズを浮上させるべく、勝負に出る。
そこへ、
「リーチ」
追っかけていったのは、
なんと寿人だ! しかもド終盤で待ちはカン!!
確かにリーチドラ1なら、親番では追っかけても全く不利ではない。
ただ、相手はラス目のリーチ。「現状トップ目だから」と、ダマに構える人も多いのではないだろうか。なかなかこのリーチは打てない。
後に寿人は、
「たろうさんがあんまり調子よくなさそうだったので、自分で親を落とすよりはぶつかっていって、放銃するならそれでもいいし、アガれるかもしれないし」
と語っていた。
素晴らしい勝負勘ではないだろうか。もちろんただの勘ではなく、勝負の世界に生きるものとして嗅覚が優れているように感じる。
そう、麻雀は勝負なのだ。
敗者がいてこそ、勝者が生まれる。残酷ではあるが、いつ自分がやられるか分からない。
勝つチャンスがあると感じたときに、思い切ってぶつけていくことも必要なのだ。
「勝負師の寿人」を感じた、親番でのカンチャン追っかけリーチであった。
この局は、
3件テンパイでの流局となる。
そうして繋いだ親番で、
寿人はまたもやカンでリーチを放つ。
ただ前局と違うのは、誰も向かっては来れないということ。
「ツモ」
持ってきたのは!
さらに裏ドラも乗せて、リーチツモ赤赤ドラ裏。6000は6100オール。
続く南2局2本場は、
またもや愚形から埋めてリーチを放ち、
たろうから一発で捕らえる。
リーチ一発ピンフ赤裏の12600。
辺り一面を焼き尽くしながら、力で道をこじ開ける、まさに「覇道の麻雀」。
親番での勝負に成功し、完全に抜け出した寿人。最終的に+95.6ポイントの大トップを獲得した。
焦点は2着争いへと移っていく。
6月の雨に打たれたように物憂げな、たろう。
点数は箱下。だが、現状8位のドリブンズ。なんとしてでも踏ん張らないといけない。
南2局3本場は本田とたろうのリーチ合戦となり、たろうが本田から12000は12900の出アガリを決める。
これで、たろうと本田の着順が入れ替わる。
雷電とて、ここでの4着はまずい。
ゲーム開始時の順位表を見ても分かる通り、
5位の雷電はボーダーラインに近い状況。ここからポイントを減らしてライン間際の攻防に巻き込まれることは、出来る限り避けたい。
本田は迎えた親番で、
勝又とのめくり合いを制し、6000オールで一気に2着目まで浮上。
めまぐるしく順位が動く中、
素晴らしい「勝負勘」を見せたのは、
勝又だった。
繰り返すが、当てずっぽうの勘ではない。
南3局1本場での勝又の勝負勘は、寿人のものとはまた違う、大局観に近いものだった。