この局、5巡目に親の本田からリーチがかかる。
ここからの、勝又の押しに大注目だ。
勝又は、
一発目にを押し、
次にドラそばのを放ち、
リーチ宣言牌のそばであるもノータイムで切っていく!
もちろん、全て無筋だ。
この局は勝又にとって勝負局なのである。
なぜなら、ここでオリると本田との点差が離れてしまって、勝又が2着になるチャンスが激減してしまうからだ。
ツモられるのはもちろん、一人ノーテンでも厳しい。また、親の早いリーチなので、トップ目の寿人は当然ながら、手が整っていなければたろうも攻めにくい。
勝又は2メンツあってアガリの見える手格好。ここは自分の着順上昇を狙って、親と戦う局と勝又は決めたのだろう。
行くと決めたときの勝又の踏み込みは鋭い。躊躇なくガンガン攻めていく。
9巡目、
役なしテンパイでをプッシュ。マンズをほぐしたい気持ちもあるが、ともに通ってない。
手替わりを待ちつつ、ツモアガリにも期待した。
本田から、リーチをしていればアガれていたが出たものの、
次手でを引いてタンピンに!
今切られたばかりなので、合わせ打たれることに期待してダマテンに。すぐに出なければ、次巡以降リーチという考えもあっただろう。
本田が次にツモったのは、
だ!
タンピン赤赤、8300点の出アガリ。
勝負と見た局での、勝又の見事な押し切りであった。
このアガリが決め手となって、勝又が2着。
3着の行方は、
南4局1本場、本田が必死に仕掛けるも、
たろうが満貫のツモアガリを決めて、3着に浮上。ドリブンズはギリギリのところで踏みとどまった。
4着となった本田は、
インタビューで、
単騎に受ける可能性についても言及していたが、
瞬間の待ちとしては端に近いの方が優秀で、後で待ちを変えて切るときにもの方が切りやすい。この局は流局となってしまったが、ここでのアガリ逃しは仕方がないだろう。また次戦、前を向いて頑張って欲しい。
この半荘の主役である寿人は、
カメラの前で、やり切ったというような、とても清々しい表情をしていた。
力でねじ伏せる麻雀も寿人の得意なスタイルの一つ。サインに「我、覇道なり。」と書くことがあるというのも、非常に納得のいく半荘であった。
いよいよ佳境だ。
一流の勝負師達が織りなす人間ドラマ、Mリーグ。
ここからどんな物語が待っているのかは、まだ誰も知らない。
京大法学部卒の元塾講師。オンライン麻雀「天鳳」では全国ランキング1位。「雀魂」では4人打ち最高位の魂天に到達。最近は、YouTubeでの麻雀講義や実況プレイ、戦術note執筆、そして牌譜添削指導に力を入れている、麻雀界では知る人ぞ知る異才。「実戦でよく出る!読むだけで勝てる麻雀講義」の著者であり、元Mリーガー朝倉康心プロの実兄。x:@getawonarashite