瀬戸熊直樹と園田賢、チームの浮上を託された男たちの明暗【Mリーグ2022-23観戦記2/16】担当記者:東川亮

南3局1本場
6巡目に【北】のみのカン【5ピン】待ちダマテンを入れ、リャンメン待ちや三暗刻への変化などを狙っていた瑠美が、5回目のツモ切りでリーチを宣言した。【7ピン】が高宮から3枚切られてピンズの好形変化が見込みにくくなったこと、【5ピン】の状況がやや良くなったことなどが理由か。

直後、園田もテンパイ。【6ソウ】【9ソウ】待ちなら十分勝負になりそうだが・・・

腕を組んで、考え込んでしまった。彼の目にはそれほどまでに、打ち出す【8ピン】が危なすぎるのだ。

ツモ切りリーチになる理由はいくつかある。「手変わりを待っていた」「鳴かれそうな牌で様子を見た」あるいは「気が変わった」などだが、最もポジティブなのは「待ち(場況)が良くなった」というもの。そう考えた場合にカギになるのは直前に3枚目が切られた【7ピン】で、浮かんでくるのが瑠美の待ちが4枚目の【7ピン】を使ったカン【8ピン】のパターンだ。となると、【8ピン】は切れない。

それでも形で、あるいは楽観的に考えて【8ピン】切りリーチを選ぶ人もいるかもしれない。しかし園田は、読んだ以上は甘えない。直前の【5ソウ】に反応がなかったことを踏まえての【8ソウ】切りで単騎テンパイとする。

ツモ切りリーチは愚形待ちのケースも多い。今回であればマンズやソーズの中張牌を切っている瑠美にピンズの愚形もあると考え、【5ピン】もストップ。

園田もテンパイを取りきって流局。

瑠美は身を乗り出して園田のいびつなテンパイ形をのぞき込み、

園田も自分の読みが合っていたことを確認し、一人うなずいた。このテンパイ料は大きかった、はずだった。

瀬戸熊逆転に向け、オーラスの園田の手はまとまりつつあった。1シャンテンのところに【3マン】を引いて少考。

園田の選択はツモ切り。【4ソウ】切りとの2択だったそうだが、ロスが少なく【5マン】【6ピン】を重ねて三暗刻になるテンパイを優先。

無情にも河に並ぶ【4マン】

高宮がツモ切った【5ソウ】は、【3マン】を残せていればリーチで捉えていたであろう牌。それを忌々しげに横目に見つつツモ切った【3ピン】を見て、

「ロン、8000は8600」
高宮が試合の終わりを、瀬戸熊のトップを、そして園田のラス落ちを告げた。

園田は痛恨、瀬戸熊は安堵。2人の表情は、対照的とまでは言わないものの、両者の明暗をハッキリと表していた。ただ、この結果もまだ過程に過ぎない。レギュラーシーズン終了までおよそ1ヵ月、その先にどんな結末が待ち受けているかは、この試合のように1牌の後先、一つの選択で大きく変わる。

その行く末を、ぜひ最後まで見届けていただきたい。

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