瀬戸熊直樹と園田賢、チームの浮上を託された男たちの明暗【Mリーグ2022-23観戦記2/16】担当記者:東川亮

瀬戸熊直樹園田賢
チームの浮上を
託された男たちの明暗

文・東川亮【木曜担当ライター】2023年2月16日

大和証券Mリーグ2022-23、2月16日の第1試合で、本田朋広は4着に敗れた。

結果、TEAM雷電は6位に後退。次戦の結果次第では、ボーダー争いへと本格的に巻き込まれる状況となりかねない。

本田は2月に入って2戦2ラスと苦戦しているものの、現在の個人ポイントは3位。チームに281.7ポイントものプラスを持ち帰ってきている。今シーズンの雷電を引っ張ってきたのが彼であることに、異論のある人はいないだろう。

本田が苦しみ、チームが窮地に立たされているからこそ、今度は俺たちが支えていかなければ。第2戦に登場したのは瀬戸熊直樹。普段気合い十分で対局に臨む彼だが、この日はやはり、いつも以上に気持ちが入っていたのではないだろうか。

第2試合
東家:瀬戸熊直樹(TEAM雷電) 
南家:二階堂瑠美EX風林火山
西家:高宮まりKONAMI麻雀格闘倶楽部
北家:園田賢(赤坂ドリブンズ)

対局の火ぶたを切ったのは園田。電光石火の3巡目リーチを安目ではあるがツモって1300-2600。

負けられない、勝ちたい思いは、こちらも同じ。現状8位のドリブンズは2月を前に「1日1トップ」という一見無謀にも思える目標を掲げ、それを6節にわたって継続してきた。レギュラーシーズンを突破して次のステージに進むためには、もはやそれくらいやらなければ届かない。初戦を落としたドリブンズは、この試合で勝たなければならないのだ。

東2局1本場、そんな2人が特大の火種を挟んで対峙する。まずは園田が中のポンから発進。まだ遠いが【白】もトイツ、孤立の字牌はどちらも役牌で、重なれば高打点も見える形。

一方、【中】を切った高宮の手は、ドラが内蔵されている大物手の1シャンテン。序盤からターツを絞りこんで字牌を残し、丁寧に手を進めながら高打点を目指していた。

直後、手の内にイーペーコーが完成していた瀬戸熊が【8ピン】を引いてテンパイ。何を切ってどうするか。

瀬戸熊は打【9ピン】でのダマテン、ドラの【5ソウ】単騎待ちを選択。端にかかった【6ピン】【9ピン】のノベタン待ちリーチもありそうだったが、【5ソウ】残しは【6ソウ】を引いたときに打点がハネ満、倍満クラスまで跳ね上がる可能性を秘めている。もちろんこのままアガれてもうれしい。あくまでも最高形の可能性を残す、瀬戸熊らしい、雷電らしい一打に見えた。

高宮が【2ソウ】を暗刻にして追いつく。待ちはカン【6ソウ】とよくはないが、タンヤオ三色ドラ赤赤はダマテンでハネ満と破壊力抜群。

園田も【1マン】、道中で重ねた東を鳴いてテンパイ。こちらも【東】【中】トイトイ満貫確定。3者の手がぶつかった。

リーチが入らないなかでの、静かなめくりあい。制したのは瀬戸熊だった。ラス牌の【5ソウ】を力強く引きアガって満貫、トップ目に立つ。

東3局、瀬戸熊に選択。一気通貫ドラ赤の1シャンテンだが、急所の【3ピン】はすでに2枚見え。また、自風の【西】も1枚切れている。

ここは【1ピン】切りで一気通貫よりも西を残す。局も終盤に差し掛かりつつある状況で、【西】はアガリの種であると共に守備力を担保する駒でもある。【3ピン】と違い、どこからでも鳴けるのも大きい。攻守のバランスを見た一打。

園田や瑠美も1シャンテンだったが、テンパイ一番乗りは高宮。こだわって鳴かずに残した【5マン】【8マン】ターツを完成させると、間を開けずカン【6ソウ】待ちテンパイとした。見た目枚数は【7ソウ】切りカン【4ソウ】待ちの方が1枚多いが、【6ソウ】ならダマテンでも満貫、また場の状況から【6ソウ】の感触もそれほど悪くはない、という読みか。

その後、園田、瑠美が仕掛けを入れると、高宮は【6マン】をカラ切りしてのリーチを敢行。どちらかと言えば相手へのプレッシャーの意味合いが強そうだが、意図はどうあれ手牌を短くした側は守備的な選択を迫られそうだ。

形式テンパイだった園田は通っていない【5ピン】を引いてあっさりと現物【3マン】を抜く。

瀬戸熊がこの【3マン】をチーしてテンパイ。【西】でしかアガれない片アガリの形だが、高宮の現物で打たれる可能性があり、自分が危ない牌を引いても守備に回れる。

そして、ベストは自分で引いてくること。高宮のリーチを、親番を蹴る1000-2000のアガリの価値は、打点以上に大きい。

効果的なアガリを重ねる瀬戸熊に対し、園田も食い下がる。

南1局、瑠美のテンパイ打牌【北】を鳴いてテンパイ。

園田はさほど迷わずカン【3ソウ】待ちにとった。形だけを見ると【2ソウ】切りの【5ソウ】【8ソウ】待ちに取りたくなりそうだが、【5ソウ】【8ソウ】はすでに自身の目から5枚見えで、見た目枚数では【3ソウ】の方が多くなっている。そして、カン【3ソウ】待ちはドラを受け入れることも可能。さまざまな要素が、リャンメン待ちよりもカンチャン待ちを選ばせた。

ホンイツ仕掛けの瑠美からすぐに【3ソウ】がツモ切られ、園田のアガリ。打点こそ【北】のみ1000点だが、選択の鋭さが光る。

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