2月14日(火)の第2試合、
EX風林火山・二階堂亜樹がセガサミーフェニックス・魚谷侑未から四暗刻単騎をアガったシーンは、
鮮烈な記憶として多くの人の脳に焼きついているだろう。
魚谷を襲った青天の霹靂の瞬間、落胆したのはセガの控室だけではない。
トップ量産が必須である赤坂ドリブンズの選手たちも、亜樹の築いた51600点という霞むような点棒に絶望しつつあった。
同卓の村上淳の点棒は、11400点しかないのだ。
しかしそれを南2局の親番で、村上は少しずつ詰めた。
4000オール。
二人テンパイ。
4200オール。
ここで魚谷のハネツモにより村上の親が落ちての南3局。
残るは2局である。
このとき東家の亜樹は38600点、北家村上は32200点の6400点差だ。
ハネマンを被ったのは痛いが、最初の40200点差という途方もない距離からすれば、
目指す向こう岸は目前に迫ったと言っていいだろう。
村上が自風のをポンしてテンパイ。
アタマのも2枚枯れで、さすがにこれは鳴かないと厳しいところだ。
亜樹にここで連荘させるわけにもいかない。
これを脇からアガると1000点で、オーラス亜樹との差は5400点差になる。
オーラス勝負で5400点を詰める。
1300・2600以上を目指す形になるだろうな、と予見していた。
しかし村上はこのときすでに──、
“出アガリするかどうか”をまず考えていたという。
「5400点差、というのは意外に厳しい。1000・2000も届かないし5200も届かない。
リーチ棒が出ての3900も届かない」
300・500のツモアガリとすることで、現在東家の亜樹とは1600点詰まる。
亜樹とは4800点差になるわけだ。
そして村上の期待に牌は応えた。
早い段階ですぐ出たら見逃したであろうは、村上の手に来てくれた。
これが1000の出アガリとは雲泥の差であったことがわかるだろうか。
オーラス、東家のU-NEXT Pirates・小林剛からリーチ。
リーチドラドラ赤の大物手。
そして村上がド無スジのを一発で掴む。
先ほどの構想通り、リーチ棒が出ての3900というトップに届く状況にはなっている。
ただこれは、恐ろしく危険な牌だ。
ソーズはくらい、だがが先に切れていてラス目の親リーチとしては残りも考えにくい。
自身が切っているを切ってのリーチは、そこをまたぐリャンメンは考えにくい。
マンズはあってか、シャンポンならくらい。
ピンズは3巡目にが切れていて、リャンメンならかなり、なんと言ってもこのは4枚目だ。
そして村上の手は、一発でを通し、さらに待ち候補として残ったかを切らなくてはならないのだ。
傍目にはなかなか伝わらないかもしれないが、
このを切った行為は、とんでもない勇気だと思う。
そして村上がチーして打のタンヤオドラドラ、3900のテンパイを入れる。
ところがこれも先ほど以上の覚悟の打牌になっていた。