3月3日(金)の第2試合、KADOKAWAサクラナイツ・渋川難波は箱下ぴったり3万点、
-90.0ptの大きすぎるラスを引いてしまった。
この日はサクラナイツがオンラインパブリックビューイングを開催しており、
初戦が岡田紗佳の大トップだったものの、その+62.2ptを失ってお釣りが来るほどのマイナスに、
少々配信の雰囲気が重苦しくなる様子があった。
とはいえ渋川の大量放銃自体の内容が実際悪かったわけでもなく、
二度のマンガンはリーチ負け、
他も点棒がなくなっての不可避の失点であり、ラスそのものを避けることは厳しかったと思う。
大きなダメージとなったのが東2局。
TEAM雷電・瀬戸熊直樹がこのカンリーチ、それを受けての一発目、渋川である。
全体図を見てみよう。
中スジのを切ればとのシャンポンテンパイだ。
しかしは小林が切っており、目に見えてもうない。
実際これをテンパイに取っても、が瀬戸熊の安全牌というわけでもないので、出アガれる可能性は低そうだ。
このような手牌だと、いったんを切っていわゆる浮かせ打ちをするのが手筋だと思う。
を切ってほとんどアガれない形にして、次巡危険な他のマンズを引いてはどうしようもない。
かにくっつけば、ピンフイッツーなどの好形勝負手になる。
問題は、が通るかだ。
瀬戸熊は配牌からカンとカンのイーシャンテン、4巡目にもをツモ切っている。
7巡目にもツモ切り。
観戦していたチームメイトの内川幸太郎は、この頃から
「これやられると本当にヤバいんだよ」
と、これから渋川に降りかかる災禍を予見しているようだった。
熟考の後、渋川の手からが放たれる。
渋川ももちろん単純にスジでを通せると思ったわけではない。
ペンは警戒したが、が場に4枚出ていることを確認して、三色の決め打ちもなかった。
しかし、渋川は罠にかかった。
そしてこの瞬間の放銃自体は責められないと思う。
リーチ一発赤赤裏裏のインパチと、痛恨の極みではあるが──、やはりを切るのがその後の攻め返しの手順としては自然だ。
ただ試合後。
チームメイトが渋川の内容について苦言を呈した局が、他にあった。
南1局、点棒は大きく沈んで箱下24500点。
をポンしてにがくっついた北家の9巡目だ。
ドラは。渋川はここからを切った。
ドラの縦重なりだけ残して、リャンメンリャンメンの2600進行だ。
これを渋川は自身、
「フラフラしてしまった」
と語る。
ほとんどラスは決定的だし、傷を深くしないためにも早く局を進めることを優先しようと。
一応ドラは持ちながら、点数はともかく最速の形にしたと。
「これはピンズのリャンメン払って5200以上を狙おうよ」
堀と内川は、こう諭した。
受けを狭くして1000が2000になるようなことに意味はないが、5200以上はやはり話が違う。
いかに点棒がなくとも、残り少ない局数で打点を見切ってはいけない。
ペン3s受けを残しておけば、ドラ重なりの対応もできる。
どんなに着順アップが霞むような状況でも、5200だって4回アガれば1着順だと。
内川は放銃した局を責めることは決してなく、ただこうした渋川の気概を叱咤した。
この局はドラのを浮かせたまま3着目のリーチを受けて撤退したが、