僕は丸山奏子を知らない【Mリーグ2022-23 インターバルコラム】文・須田良規

たとえこれが丸山と3人の最後の試合でも、たとえ丸山がトップでも、
3人の先生にはまだ教えたいことがあった。

丸山が、真摯でなくて、先輩たちの意見に耳を貸さないような人間だったなら──、
元いた3人が残ればいいと、単純に思えただろう。

でも、もう僕はこの4人で戦ったドリブンズを知ってしまった。

いつも試合を終えた丸山に、歴戦のおっさんたちが真剣に指南する。
丸山は決して言い返すことなどなく、全てを学んで、吸収して、チームの力になろうとする。

足を引っ張るなんてとんでもない。この飽くなき向上心の体現こそが、ドリブンズなのだ。

そしてもう、このチームはなくなってしまう。
今後のチーム編成がいかようになろうとも、世話焼きのおっさんたちと、素直で努力家の丸山のやり取りはもう見ることがない。

僕の知らなかった新人の子は、ドリブンズにとって必要な選手になっていた。

 

こうして誰かがいなくなり、誰かが残る──。
それでも、何年経っても。

このMリーグの黎明期を支えた、
強く、温かいチームがあったことは、決して忘れないと思う。

 

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