「雷電はもう迷わない」
萩原聖人、渾身の力を込めて
振り下ろされるRMO
文・渡邉浩史郎【金曜担当ライター】2023年4月28日
第1試合
東家:岡田紗佳(KADOKAWAサクラナイツ)
南家:瑞原明奈(U-NEXT Pirates)
西家:二階堂亜樹(EX風林火山)
北家:萩原聖人(TEAM RAIDEN / 雷電)
-1256.1
それは昨年の雷電に突きつけられた、あまりに過酷な運命であった。
負ければ負けるほど勝つために大振りになっていき、選択の余地がなくなっていく。
麻雀という深い迷宮に迷い込み、沈むように溶けていくように、雷電は歴史的大敗を喫した。
その最終戦、萩原聖人はその結果を全て受け入れ、相手チームを称え、胸を張り、笑顔で、高らかにこう宣言した。
「今シーズンの結果、いろんな経験がすべて、雷電の来年のフラグになります。」
「優勝する!!」
そして迎えた今年、セミファイナルの天王山。
昨年までの苦境にあえぐ雷電は、そこにはもういなかった。
押すべきは押し、引くべきは引く。
攻めの火の手が上がったのは【東2局1本場】。ドラドラの手牌から、亜樹の先制リーチに押し通ってのマンガンのツモを決めると……
【東3局】ではピンフのみの聴牌から親の亜樹のリーチにをダマプッシュ。
なんてことない親を蹴るピンフの和了り。しかし去年の雷電にはこんな一牌さえも、近くて遠かったのだ。
そして迎えた【南1局】。
萩原の手牌に強烈ににおい立つ役満の香り。
引き絞られた、その牌は……
!
を切れば出和了り6400、ツモってマンガンの聴牌。
しかしそのアガリはトップを決めると言いきれるものではない上に、待ちもドラ表示のとかなり悪い。
一方で役満を決めればこの半荘のトップを決定するだけでなく、ファイナル進出のチケットを手にする和了りとまでなりかねない。
昨年であれば迷うことなく聴牌外し、選ぶ余地がなかったといえよう。
しかし今年の雷電は、いうなれば和了りを選べる立場にある。
選ばれたのは、。
⇒というルートでなければ小三元のマンガン止まり、現在の打点より上がることはほとんどない。
ポイント首位ということもあり当然の一手、と言うのは簡単だが……
選べる立場故の裏目である。山に嘲笑われるかのように、見せつけられた役満へのストレート一本道。
しかし萩原に取り逃がした大魚への一瞥はあれど、迷いはない。