「世界一おもしろい麻雀というゲームに感謝」 耳にこびりついて離れない 渋谷ABEMAS藤田監督のファイナルメッセージ【Mリーグ2022-23ファイナル観戦記5/19】担当記者:ZERO / 沖中祐也

寿人がギブアップ宣言のような3000/6000をツモり、ABEMASの優勝が決まった。

「麻雀人生の中で今日が一番嬉しい」
多井と白鳥が語る。
日向と松本も同様だろう。

仲間に出迎えられ、ようやく安堵の表情を浮かべる多井。
毎年のことだが、この瞬間のために半年間の激闘があったのだと思うと感慨深い。

表彰式に舞台を移し

それぞれが想いを語る。
多井が決して平坦な道のりじゃなかったことを告白する。

麻雀のことで強く言い過ぎたり、少なからず衝突もあったようだ。
しかしそれを乗り越えて今が一番絆は深まっているし、一番強いと確信している。

そうしてようやく、藤田さんに恩返しができると語ったところで感極まり、涙を流した。

この涙は、4年間の悔し涙とは違う。
最高の仲間とともにたどり着いた、最高の到達点だ。

他にも魅力的な選手がいっぱいいるからこれからもMリーグを応援してほしい、と他チームに気を遣って多井のスピーチは終わる。

そして最後に藤田さんのスピーチで締められた。
監督としての喜びを語った後

「急成長中のベンチャー企業の売上グラフのように熱狂は拡大している」
企業家っぽい比喩でMリーグの広がりを表現した。

たしかに…ここ1・2年の広がり方は肌感覚でも感じていた。

こないだなんか、朝方、観戦記を書き終えた後に近くのホールに向かったら…

隣の人がMリーグを見ていた。

「今その試合の観戦記を書き終えたんですよ!」

と言いたかったが自重。

みなさんもこういったシーンを結構な頻度で体験していないだろうか。
通勤中の電車の中でも、ファミレスでも、交差点でも、こんなとこにいるはずもないのに。

突然だが先日、ノッポさんが亡くなったことが報じられた。(享年88)
ノッポさんといえば、我々世代(40代)からするとレジェンド的な存在で、「できるかな」という教育番組で一切喋らないキャラを20年以上演じ続けた方だ。

引退後もキャラを貫き通すためか私生活をほとんど明かすことがなかったそうだが、報じられた記事をみてハッとした。

「それ以上に好きだったのは、麻雀でした。同世代の方を家に呼んで卓を囲んでいました。ノッポさんは独特な打ち方をするそうですが、強いんです。本人は『NHKに出ている時代に鍛えられた』と話していましたね。ただ、コロナ禍で家に集まることが難しくなりました。 そんなときは『Mリーグ』の中継やダイジェスト番組を見ていて、放送が始まると誰もノッポさんに近寄れないほどの集中力でしたね(笑)。『今はこれしか楽しみがない』と、ぼやいていましたよ」
(引用元→【ノッポさん逝去】事務所社長が明かす「パチンコ&麻雀好き」素顔…形見は1000円のボロボロ腕時計

独特な打ち方が気になるな。
「できるかな」と言いながら、三色同刻でも狙ってたのだろうか。

ともあれ、生前ノッポさんはMリーグが唯一の楽しみだったそうな。
ノッポさんに限らず、思わぬ著名人が「Mリーグ好き」を語る場面を本当によくみかけるようになった。
今やアイドルが趣味は麻雀ですと言っても驚かない。
キャバ嬢が雀魂をやっていても驚かない。

Mリーガーが麻雀を打つことで、誰かに日々の楽しみや活力、それを越えて勇気や希望を与えているのだ。

間違いなく認知は広まっている。
それが藤田チェアマンの5年前の構想より、上なのかまだ下なのか、はたまた乖離はどれくらいなのかは検討もつかなかった。(業界内にいるとなかなかわからないものだ)
しかしベンチャー企業の比喩を語ったのをみて、そして自分の肌感覚でも、この数年でブレイクスルーしたと言っても過言ではなさそうだ。

続けて、藤田チェアマンは関係者各位に感謝を述べた後、付け加えるようにもう1つの相手に感謝を述べた。

「理不尽でうまくいかないこともあり、不思議なドラマが生まれる、世界一面白い麻雀に感謝を申し上げたいと思います」

その相手は麻雀そのものだった。

浮上のきっかけをつかめず、勝たねばならないのに勝てなかったチームがあった。

 

思うような活躍ができなかった期待の新人たちはセミファイナルで爆発した。

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