【 #神域リーグ2023 第4節第11試合観戦記】豪快奔放歌衣メイカ 漢の道は己で決める さぁ、全て笑い飛ばせ【文 #後藤哲冶 】

その因幡が続く東3局も仕掛ける。
ドラで自風の【西】ポンで、万全なくっつきの形。

しかしその【西】をポンさせた渋川もまた、テンパイが入っていた。
このカン【7ソウ】をダマでツモって2000、4000。
苦しいチームを救うべく、監督自ら勝利を手繰り寄せる。
これで渋川がトップを奪い返した。

この親被りによって一時的にラスになってしまったのが、歌衣。
因幡への3900の放銃も相まって、苦しい状況になってきてしまった。

その歌衣は、この手牌で自風の【北】を鳴かなかった。
これを鳴いても大体が2000点にしかならず、ラス目から脱出することはできない。
ならば、少しでも高い手を狙ってここはスルー。
手牌が育てば、【北】を対子落としすることだってある。

順調に手牌が育つ。
これでリーチツモイーペーコードラ1の満貫が見えてきた。

ここで、最後の分岐。
ドラ【5マン】を残すメリットは、言わずもがな【4マン】【6マン】を引いた時に使えるから。

【5ソウ】【北】のシャボになる」

歌衣は小さくそう呟くと、ドラをリリース。
ドラに拘り過ぎない良い一打だ。
【5マン】を切ったところで、現状のロスはない。
しかし、【8ソウ】を切ってしまうと――

この【北】を引いた時のテンパイを捉えられない。
完璧な手順でつかみ取ったテンパイ。
迷うことなくリーチ。
そして。

「誰がMVPだっけ? この俺だよなぁ!」

約束された一発ツモ。裏ドラを1枚乗せて、3000、6000……!
4巡目に切られた【北】を鳴いていたら。
ドラの【5マン】に未練を残していたら。
そのどれでもたどり着けなかった12000の加点。

跳満という華に至ったのは、そこまでに蒔いた種があるから。
運だけではない、歌衣のこれまでの積み重ねそのものだ。
これで一気に歌衣がトップ争いに復帰する。

続く南1局も歌衣が因幡から1000点をもぎとり、2着まで浮上。

南2局

チートイツドラドラのイーシャンテンに辿り着いた歌衣。
しかし、狙いはそこではなかった。

【北】【8ソウ】など、チートイツとして重なりやすそうな牌も、次々と切っていく。
歌衣の狙いは、対子の【南】を鳴いてのダブ南ドラドラだった。
チートイツは自力で残り3種類の牌を重ねなければいけない性質上、イーシャンテンが長引きやすい。

対して【南】を仕掛ければ、他者から切られたものをポンして手を進めることができる。
歌衣はこの手はその方が早く、そして高く仕上がると判断した。

そしてこれを狙い通り仕上げ、勝負手が入っていた因幡から捉える。
ダブ南ドラ3は8000点のアガリ。
これでなんと歌衣は渋川もかわしてトップ目に立った。

「1位もらい受けるぞ……!」

喉から手が出るほど欲しいトップは、もう目の前にある。
勝負は、最短で残り2局。

南3局

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