【新Mリーガーインタビュー】「私という人間を評価してくれたドリブンズに恩返しをしたい」浅見真紀

浅見真紀赤坂ドリブンズが独自に行ったトライアウトを経てドラフト指名を受け、チームに加わることになった。もともとMリーグ入りを考えていなかったという彼女に、どのような心境の変化が訪れ、どのような思いを抱いてMリーグの舞台へと臨むのか。ドラフト後の浅見プロに、今の思いを聞いた。

──トライアウトに合格し、ドラフト指名を受けることが分かったときの率直な気持ちから教えてください。

合格して「やった、うれしい」という気持ちももちろんありましたが、「私で大丈夫かな」という感情もなくはなかったというのが正直なところです。

越山監督がインタビューでおっしゃっていたように、トライアウトを受けること自体も悩んでいたのは実際にその通りで、トライアウトを受けることが私にとって、Мリーグにとっていいことなのか、考えていた時期もありました。

ですがトライアウトを通じて、それからトライアウト後に越山監督とお話させていただいたことで、麻雀プロとしての実績や活動の仕方だけではなく、私が37年生きてきた人生を評価してくれたように感じられました。

チームが浅見真紀という人間を求めてくれているのが光栄ですしうれしかったので、自分にできることをしようと気持ちが変わり、少しずつ覚悟が固まっていった感じです。

──元々Mリーグを目指す気持ちがなかったという話でしたが、なぜトライアウトを受けようと思ったのでしょうか。

私は視聴者としてMリーグを見ている中で、「Mリーグに入るための努力をしている人がMリーガーになった方がファンの方は喜ぶんじゃないか」と思っていたんです。

一方で私の今の生活を考えると、子どももいますし、自分の生活を全て麻雀の研鑽に使うのは物理的には難しいところがあります。もちろん麻雀プロとして勉強はしていますけど、それは主戦場の最高位戦ルールに対してであって、赤あり麻雀の勉強をしているわけではありませんでした。

そんな私よりも麻雀に全振りできる、赤あり麻雀をきちんと研究・勉強している人が選ばれたほうがいい、と思っていたんです。

あと、私は普段最高位戦の裏方の仕事をしているのですが、それにもすごくやりがいを感じています。子育ても含めて今の生活にすごく満足しているところがあって、新しいステージやより高みを目指すことは考えていませんでした。そんな私が、招待を受けたからとはいえトライアウトを受けてもいいのかと、悩みながら参加しました。

最初のテストの際に越山監督は「ドリブンズはMリーガーになりたいという思いが強い人が欲しいわけではない。人気や発信力、影響力の強さも一切考慮しない。麻雀に真摯で、努力し続けられる、大人、人間としてしっかりと物事を論理立てて考えられる選手を迎えたい」とおっしゃいました。

思い返してみると私自身、最高位戦に入会した理由は「麻雀が打ちたい、リーグ戦をやりたい」というすごくシンプルな理由でした。

ドリブンズの麻雀に対して深く探求していくチームカラーにも好感を持っていましたし、そういう考えでトライアウトをされるのであれば自分も真摯にこの試験を受けよう、と思えたのがトライアウトを受けた理由です。

──トライアウトでは、1回目でできなかった問題を2回目で完璧にしていた、という話でした。

たぶん、試験というものが好きなんだと思います。もちろん受けると決めた後は、できることは全部やろうと思っていました。

あと、普通筆記試験って1回だけだと思うんですけど、一次試験通過者に対しては「二次試験にも筆記試験がある」とアナウンスされたんです。「それは何でだろう、ドリブンズならどうするだろう」と考え、おそらく同じような問題を出して点数の変化を見るのではないか、ドリブンズはそういうことをやるチームだと思って、試験と試験の短い間で全部復習したんです。実際にそうだったので、「やっぱりね」と思いました(笑)。

──Mリーグを外から見て、どういうフィールドだと思っていましたか。

多くの麻雀プロは対局をすることだけが収入になるわけではありません。でも、Mリーガーは企業から年俸をもらえて試合以外の時間を麻雀の練習や勉強に費やせるわけですから、その環境がうらやましかったです。

──一方で、それだけ多くの人の目に触れ、重圧も大きいと思います。

ネガティブなコメントなどはもちろんありますけど、いいファンはそれに引っ張られずにMリーグを楽しんでいると思っているので、そこに対する不安はありません。もちろん厳しい意見もあるとは思いますし、それはあってしかるべきですが、ドラフトのときに「いい人選をした」と書いてくださっている方が多かったのは安心しました。

──赤入りのリーグ戦は初めてだと思いますが、そこに対しての楽しみや不安についてはいかがでしょうか。

私もずっとMリーグを見てはいたので「自分だったらどうするか」は考えていましたけど、実際に打っていないですし、特にあのステージはなかなか経験できるものではないので、とにかく練習と勉強をしないといけないと思っています。ドラフトの後にチームの決起会のようなものがあったのですが、そのときにたろうさんから「まきどんはこういうふうに打つのがいいよ」というアドバイスをもらったので、まずはそれを軸に打とうかなと思っています。

──越山監督は浅見プロについて「実況者としていろいろな人の麻雀を見ているから引き出しが多いのでは」と話していました。

打牌の意図や一つの打牌への違和感に気づける能力は、実況をやっていてすごく身についたと思っています。でも、拾って言葉にすることはできますが、実際に打つのと実況で喋るのは使う能力は少し違うと思っています。

もちろん引き出しはすごく増えましたし、画面上で選手が何を考えているかはある程度想像できますけど、それをどうやって自分の麻雀につなげるかを、これからやっていかないといけないと思っています。

たくさんある引き出しのどれを引き出すか、開幕までにはそちらの作業をしていかないといけないと思いますし、開幕までに答えを出せるとも思っていないのでその勉強はし続けないといけないと思います。

──浅見プロに期待されているドリブンズファンはたくさんいると思います。今後Mリーグで戦っていく上での意気込み、ファンの方へのメッセージをいただけますか。

私は選手として大きなタイトルを獲っているわけでも、ここ数年最前線で活躍していた麻雀プロでもない、というのは自覚しています。それでもドリブンズに選んでもらったのは、私という人物を評価していただけたからだと思っているので、私という人間を応援してもらえるようにするのが選んでくれたドリブンズへの恩返しだと思います。そして私がこれからどうなっていくかは、まだ結果を残せていない麻雀プロへの一つの指針になるかもしれないので、それも背負って努力しないといけないと思っています。

ドリブンズのファン・サポーターのみなさんは、元々の4人を応援してくださっていた方々がほとんどだと思います。村上さんと丸山さんがいた頃のドリブンズを愛してもらっているのは承知の上で、ドリブンズイズムはしっかり継承して、それ以上に応援してもらえるように頑張ろうと思っていますので、応援してもらえたらうれしいです。

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