【 #神域リーグ2023 第5節第13試合観戦記】神域の空に、 朝郎(ぼら)け 艱難辛苦乗り越えた先で 朝陽にいなは【文 #後藤哲冶 】

この時もしかすると、今まで受けてきた不運の数々が、朝陽の脳裏をよぎったかもしれない。

ダマにしても、仕方ないと、思った。

「ここで日和ってるのは本当に良くない。 ひよ、らない……!」

それでも。朝陽はリーチ、と力強く宣言。
トップは、自分の手で決める。

嫌な記憶も振り払って、朝陽は自分の麻雀を貫くことを選んだ。

どれだけの不運に見舞われても、いつも通りを貫く。
言葉にすれば簡単だが、これは決して容易ではない。

そしてその心意気に、必ずしも牌が応えてくれるとは限らない。
けれど。

今日この時に限っては、朝陽の姿勢に麻雀の神様が微笑んでくれた。

4着に緑仙。ことごとくリーチは空振り、リーチ後に放銃してしまうシーンが目立った緑仙。
それでも、インタビューで監督の松本から「次もいけるか?」と聞かれた際には、「もちろんです」と力強く言ってみせた。
第14試合の緑仙の戦いぶりも記事で描くつもりなので、是非そちらも目を通してほしい。

3着にルイス。序盤リードしただけに、3着は少し不満か。
けれど堅実に打ち続けるルイスの安定感は、随所に見えたように思う。

2着に、白雪。

オーラス、最後まで白雪はトップを狙っていた。
白雪の左端に浮いている【2マン】。実は朝陽の当たり牌だったのだが。

三色が崩れたこのテンパイでは【2マン】は打たない。
あくまで狙いはトップ。

そして最後にはこのドラ【2マン】単騎リーチ。
実りこそしなかったものの、白雪の執念すら感じる麻雀には、興奮せずにはいられなかった。
また残りの数節でも、白雪の麻雀を観戦記で書くことがあるだろうと、私は確信している。

嬉しい嬉しい初トップは、朝陽にいな。
試合後は、喜びの声を聞くことができた。
それでもすぐに、「検討するべきところはたくさんあった」と口にする辺り、麻雀に対する真摯な姿勢が見え隠れしている。
これからも、グラディウスを牽引する打ち手になってくれるだろう。

――前節、どれだけの不運に見舞われても、折れない朝陽は美しい、と綴った。
けれど。

最後まで自分の麻雀を貫き、満開の笑顔を咲かせた朝陽は。

それよりも更に、美しく輝いていた。

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