【 #神域リーグ2023 第7節第20試合観戦記】立ち上がれ或世イヌ 悔しいという感情が 君をもっと強くする 【文 #後藤哲冶 】

時間こそかかったが、【4ピン】【7ピン】のリャンメンテンパイ。ドラが2枚の勝負手だ。
或世はもちろんリーチ宣言。

「ここアガれれば……! 頼むツモってくれ……!」

ここをツモればトップまでまだ見えてくる。
或世が祈るように手を伸ばすが。

ここは実らず。
流局となってしまった。
続く南3局1本場

後が無い歌衣が、カン【7マン】の先制リーチ。
役こそリーチのみだが、リーチは無限の可能性を秘めている。
山に4枚全て残っていたこのリーチを、歌衣がツモると……

「終わってねえ俺は!」

裏が2枚……!
タダでは絶対に終わらせない。
漢歌衣不屈の一撃4000オールで、2位争いが混沌と化した。

南3局2本場へ。

歌衣の4000オールで、或世はラス争いに巻き込まれてしまった。
絶対にここで歌衣の親番を終わらせ、加点したい或世。
この【5マン】に、手が止まる。

ホンイツ行くか【南】あるし」

なんとこの【5マン】を食い伸ばしチーから発進してのホンイツへ。
既に出来上がっているメンツからチーして2メンツに持っていくことを、食い伸ばしという。
この仕掛を見た時、或世の中に師匠である白雪を確かに見た気がした。
まさに、白雪がやりそうな仕掛け出し。その教えは、しっかりと受け継がれている。

南をポンした後、東を引き入れてテンパイ。
8000点の【6マン】【9マン】待ちテンパイだ。

そこに、絶対にオリない修羅と化した歌衣が追い付く。
ピンフドラドラ赤は12000からの超ド級大物手。
ツモれば6000オールから。ハコ下のラス目からトップまで駆け上がる奇跡に、歌衣が手を伸ばす。

通っていない牌を持ってきた或世だが、ここは全力でプッシュ。

「いや、行こう。勝負手だ」

或世も覚悟を決めた。
ここでオリて歌衣のアガリを許せば、本当にラス争いになってしまう。

歌衣か、或世か。
まさに風雲急を告げるそんなタイミングで。

朝陽に電流が走っていた。
ホンイツを見ていた朝陽だったが、この【8ピン】が重なったことで考え方を変える。

「すごい打点が必要なわけじゃないからね」

この【8ピン】のトイツを残したことで、この局、いやこの試合の命運が大きく分かれた。

この局を制したのは、朝陽だったのだ。
残した【8ピン】をツモって、値千金の400、700のツモアガリ。
或世のツモでも、歌衣のツモでもトップが危うかっただけに、このツモは大きくトップを手繰り寄せるアガリになった。

南4局。再三の勝負手が実らず、或世はなんとか2着を持って帰る方向にシフトしたいところだったが。

僅か6巡で。
ゼウスの誇る可憐な大怪盗が、瞬く間に2着というお宝をかっ攫って行ったのだった。

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