ヘラクレスの応援配信もここまでかと息を呑む。
打ったら2着落ち。
松本の選択は、打ちだった。
これならば、タンヤオで回れる上、打点が無いことが確定しているルイスへ放銃でも構わないという判断。
ルイスは1000点でもアガれば2着だ。
白雪が喉元まで突きつけた刃は、僅かに松本の首筋を通り抜けて空を切った。
けれど、まだある。ツモれば、まだトップだ。
「ウチのチームが最強だってことを教えてやる!」
その、結果は――
「クッソ……!」
最後まで伸ばし続けた白雪の手は。
トップに手がかかりかけて……僅かに滑り落ちていったのだった。
トップは、ヘラクレス松本監督。
最後の場面での判断は、流石としか言いようがない。
チームは今日苦しい戦いだったが、松本のトップで踏みとどまったと言えるだろう。
試合後、白雪は松本に止められたを、ただただ眺めていた。
あと一歩、届かなかった。
しかし、自身の麻雀の内容には、確かな手ごたえがあったから。
「セミファイナルファイナルで、負けた分は取り返しますか」
「アガれなかった最後のリーチも……そこでモノにするわ」
白雪がセミファイナル、ファイナルに向けリベンジを誓う。
次にこのリベンジを達成した時――それは。
白雪がただ一人。
――神域リーグを連覇する時だ。
最高位戦日本プロ麻雀協会47期前期入会。麻雀プロ兼作家。
麻雀の面白さと、リアルな熱量を多くの人に伝えるため幅広く活動中。
Twitter:@Kotetsu_0924