しかしそこにさらに飛び込んで来たのが、アトラスの村上だった。
リーチ一発で渋川から捉えて、8000点の横移動。
「ずんたんありがとう!」
もちろん自分でアガるのが一番ではあるが、この横移動もゼウス的には悪くない。
これでグラディウスの渋川が4着に落ちた。
迎えたオーラス、ルイスの手にドラが2枚と赤が1枚の好配牌が入っていた。
現状3着のルイスは、跳満のツモでトップまで行くことができる。チートイツドラドラ赤をツモれば、条件クリアだ。
まだ、トップまで見える、そんな状況。
しかし状況は、一瞬にして変わり。
僅か1巡で。
「え、ちょっと?! 1000点棒のせいで! なにやってくれてん君たち!」
松本と村上が場に出したリーチ棒があったがために。
ルイスが、4着になってしまっていたのだった。
ゼウスは、マイナス173ptでレギュラーシーズンを終えた。
8月28日に行われるセミファイナルで、どこか1チームを超える必要がある。
現状4位のグラディウスとの差は57pt。1回のトップで変わるポイントなので、決して無理な差ではない。
4着となってしまったルイス。
それでも、麻雀の内容も、決して悪くなく、むしろ良い所が多かったように思う。
リーチ対決に勝てていれば。最後のオーラスも少し展開が違えば。違った結果が待っていたはずだ。
セミファイナルでの巻き返しに、大いに期待したい。
最後に。このレギュラー最終戦を見ていて特に思ったのは、とにかくルイスが明るく、そして楽しく麻雀を打っていたことだった。
もちろん、麻雀にはしっかりと集中しながら。
時に、自分のところに来た牌に喜び。
時にBGMを口ずさんでみたり。
時に監督陣に可愛い毒を吐いてみたり。
最後まで、ルイスがその明るい姿勢を崩すことはなかった。
もちろん、最後の捲られてしまったシーンですら、だ。
これで、レギュラーシーズンが終わり、残りはセミファイナルと、ファイナル。
順位が決まる最後の試合になればなるほど、真剣さは増してくるだろう。
それは、選手も、そして見ている視聴者も。
けれど、絶対に忘れないで欲しい。
彼彼女らは、麻雀をもちろん真剣にやりつつも、皆が「麻雀を好きだ」という想いを胸に集まってくれているということ。
麻雀のリーグ戦に置ける、面白さは人それぞれ。それを、押し付けることはあってはいけない。
最後まで楽しむ気持ちで、神域リーグを見届けて欲しいと思う。
ルイスはいつでも、楽しむ気持ちを忘れない。
そうでありながら、ルイスは、配信でも麻雀を打つ頻度が非常に高い、向上心のある配信者だ。
そういう意味で、このレギュラー最終戦を打ってくれたのが彼女で良かったと思う。
ルイス・キャミーは、楽しむ心を忘れず、それで麻雀が大好きな、まさに、神域リーグ理念の体現者なのではないかな、なんて、勝手に思ってしまうのだ。
最高位戦日本プロ麻雀協会47期前期入会。麻雀プロ兼作家。
麻雀の面白さと、リアルな熱量を多くの人に伝えるため幅広く活動中。
Twitter:@Kotetsu_0924