正しい道を歩めども… 松ヶ瀬隆弥「悲運の一日」【Mリーグ2023-24観戦記 10/20】担当記者 千嶋辰治

これをしっかりと止めてギブアップとしたが、ギリギリのところで放銃回避。
自分の読みを裏付けとした攻守バランスの良さが際立った、松ヶ瀬らしい1局だった。

■ 隙あらば一瞬で打ち抜く攻撃力

素晴らしい守備力による「繊細」な面を紹介したが、今度は「超巨砲」と言われる攻撃面でのファインプレーを。

場面は進んで南1局 ドラは【南】
全員がイーシャンテンのままテンパイが入らない膠着状態が続いていたが、終盤に差し掛かる頃、最初にテンパイを入れたのが優。

【赤5ソウ】単騎でヤミテンに。
次巡、

終盤の攻防に備えて3枚切れの【北】に単騎を持ち換えてヤミテン。

もちろん、このままでは和了りが無いので、「?」と思われた方もいるかも知れない。
こうしておくと、どこかから火の手が上がっても1巡だけ安全にテンパイを維持することが出来る、というのがその理由だ。

そして、この受け気味の手筋を徹底する優。

ピンフイーペーコーのテンパイに変化する【1ピン】を引き入れるも、打【4ピン】としてカラテン続行。
次の変化で出和了り出来るようにと周到に構えた。

次巡、

この【3ソウ】をツモったところで4枚目の【北】をリリース。
こうして優が生み出した「間合いの妙」が、終盤の攻防を激化させる。

実は、下家に構える親の渋川がご覧の形のイーシャンテンで、

優が待ち頃の【9ソウ】単騎に受け直すと、渋川は当然チーを入れてテンパイ。

この動きに「繊細」に対応する松ヶ瀬は、

このチートイツのイーシャンテンで、渋川の現物である【南】を切って対応した。

すると、猿川が同巡、

絶好の【赤5ピン】を引き入れ、フリテンながらツモると高い三面張リーチを敢行。
そして、このリーチを観た優が、

全員が【9ソウ】をツモったら切るだろうことから、実質「ツモ4倍速」の【9ソウ】単騎で勝負に出る。

一人イーシャンテンのまま囲まれてしまった松ヶ瀬だったが…

なんとここでしぶとくテンパイ。

場況としてはピンズよりもソウズの方が安く、和了りにかけるなら【8ソウ】単騎の方が山に居そうな河の様子。

しかし、慧眼を持つ松ヶ瀬は河が誘う【8ソウ】単騎にはせず。
敢えて高い色の【2ピン】に照準を合わせてリーチ宣言。

終盤に詰め込まれた目まぐるしい攻防。
ただ、決着は一瞬だった。

 

下家の猿川が即座に飛び込んで、リーチ一発タンヤオチートイツの8,000点放銃という結末。

勝負所で間違えない松ヶ瀬。
この和了こそ、彼が一流である証と言えるのではないだろうか。

■ それでも勝てない麻雀の恐ろしさ

松ヶ瀬の一撃で得点状況はご覧のように横並びに。

この勢いを駆って二の矢を放ちたい松ヶ瀬は4巡目、

上手くまとめられたら決定打になりそうな手牌。
しかし、どこをどうさばいてもエラーが起きそう。

難しい選択を迫られた松ヶ瀬だったが、今日の彼は間違えない。

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