逆風の中でも山のように動じず
勝又健志、細い勝ち筋を
逃さぬ読みと胆力
文・東川亮【金曜担当ライター】2023年10月20日
第1回戦
東家:菅原千瑛(BEAST Japanext)
南家:内川幸太郎(KADOKAWAサクラナイツ)
西家:瑞原明奈(U-NEXT Pirates)
北家:勝又健志(EX風林火山)
![](https://kinmaweb.jp/wp-content/uploads/2023/10/batch_20231020mleague_1-2.jpg)
大和証券Mリーグ、10月20日の第1試合。
勝又健志にとっては、どうにもままならない展開が続いていた。
![](https://kinmaweb.jp/wp-content/uploads/2023/10/batch_20231020mleague_1-3.jpg)
東4局1本場、親番で6巡目に先制の3メンチャンリーチ。ドラドラ赤のピンフ手で入り目がカンなのは感触抜群。
自分ならばアガることはもはや前提、「ツモって裏1の8000オールでオナシャス!」とまで思い描き、出アガリ満貫ならガッカリするレベルだ。ぜいたく。
![](https://kinmaweb.jp/wp-content/uploads/2023/10/batch_20231020mleague_1-4.jpg)
リーチ時には山に8枚残り、内川がアガリ牌のを2枚引き入れてチートイツの追っかけリーチ。待ちの
は菅原にトイツで山に1枚。6対1なら単純計算で8割以上、勝又が勝つはず。だが、
![](https://kinmaweb.jp/wp-content/uploads/2023/10/batch_20231020mleague_1-5.jpg)
オー、マイ、ガー。
まさかこの手が6400の打ち込みに回ろうとは。勝又の眼前に暗雲がたちこめる。
流れが悪い、ムードがよくない。そう感じてしまう、人間だもの。
![](https://kinmaweb.jp/wp-content/uploads/2023/10/batch_20231020mleague_1-6.jpg)
南3局は内川の先制リーチに対して追いつくと、を切っても3メンチャンの
待ちにはせず、
を切って
待ちを選択。ド無スジの
に対して
は現物ということで、安全にアガリを狙う形に。
![](https://kinmaweb.jp/wp-content/uploads/2023/10/batch_20231020mleague_1-7.jpg)
オー、マイ、ガー。
勝又、痛恨のアガリ逃し。
![](https://kinmaweb.jp/wp-content/uploads/2023/10/batch_20231020mleague_1-8.jpg)
もちろん、自分の読みや選択に自信があったなら、「そういうこともあるよねー」で済ませてもいい。はさすがにキツい牌だ。ただ、勝又は試合後、切りきれなかった
をリーチの前に処理しておく手順があったと悔いている。こういうのは、地味にメンタルにくる。
![](https://kinmaweb.jp/wp-content/uploads/2023/10/batch_20231020mleague_1-9.jpg)
幸いにも放銃とはならなかったが、勝又は微差の3着目でオーラスを迎えることとなった。
![](https://kinmaweb.jp/wp-content/uploads/2023/10/batch_20231020mleague_1-10.jpg)
何としてもアガらなければならない南4局、しかし配牌はご覧の通り悪い。
![](https://kinmaweb.jp/wp-content/uploads/2023/10/batch_20231020mleague_1-11.jpg)
アガればトップの瑞原は、中張牌を続々と引き入れて待ちテンパイ。きらめく2つの赤は、勝利を彩らんとする花のよう。
![](https://kinmaweb.jp/wp-content/uploads/2023/10/batch_20231020mleague_1-12.jpg)
だが、字牌を切り飛ばしながら手を進めていた勝又も、なんとか追いつくことに成功した。こちらは花も何もない、リーチのみの愚形待ち。無骨でも、今はこれで行くしかない。
![](https://kinmaweb.jp/wp-content/uploads/2023/10/batch_20231020mleague_1-13.jpg)
![](https://kinmaweb.jp/wp-content/uploads/2023/10/batch_20231020mleague_1-14.jpg)
そこに菅原、やや遅れて内川も追いついた。いずれもアガれば着順を浮上させられる勝負手。特に内川はドラドラ赤の満貫テンパイで、供託リーチ棒を加えると2着順アップ、4万点分の価値がある。しかも
は直前に勝又が切ったリーチの現物。
![](https://kinmaweb.jp/wp-content/uploads/2023/10/batch_20231020mleague_1-15.jpg)
それだけに、は止めようがなかった。
![](https://kinmaweb.jp/wp-content/uploads/2023/10/batch_20231020mleague_1-16.jpg)
2000は2300のアガリ。
打点は安くとも、まずは可能性をつないだ。
![](https://kinmaweb.jp/wp-content/uploads/2023/10/batch_20231020mleague_1-17.jpg)
次局、勝又は1シャンテンでを引く。現状の手牌では使えないが、打点や後の好形変化を見て、残す手もあるか。
![](https://kinmaweb.jp/wp-content/uploads/2023/10/batch_20231020mleague_1-18.jpg)
少考の末、ツモ切り。捨て牌を見ると、内川が序盤に、瑞原が
を切っていて、2人が
を持っている確率はやや下がっているように感じられる。ということは、
![](https://kinmaweb.jp/wp-content/uploads/2023/10/batch_20231020mleague_1-19.jpg)
ペン待ちは即リーチ。
ピンズがつながって形がよくなり、鳴いても満貫になる引きだとソーズを切っていたかもしれないが、
引きからのモーションには一切のよどみがなかった。
![](https://kinmaweb.jp/wp-content/uploads/2023/10/batch_20231020mleague_1-20.jpg)
麻雀は、選択のゲームだ。選ぶということは裏目もある。牌山の積まれ方にも翻弄される。それでも麻雀打ちは、選択を続けなければならない。勝つために考え、最善を尽くさなければならない。
![](https://kinmaweb.jp/wp-content/uploads/2023/10/batch_20231020mleague_1-21.jpg)
諦めずにそれを続けた先に、光明はある。
勝又怒りの一発ツモ。たぶん怒っていないと思うけど。