鳴き虫しょーちゃんの思考
文・小林正和【金曜担当ライター】2023年10月27日
第2回戦
東家:仲林圭(U-NEXT Pirates)
南家:白鳥翔(渋谷ABEMAS)
西家:浅見真紀(赤坂ドリブンズ)
北家:本田朋広(TEAM RAIDEN / 雷電)
政府による働き方改革の推進もあり、様々な顔を合わせ持つ人が増えてきた。
ダブルワークをする者もいれば、俳優や声優・アイドルなどの業界を越えて活躍する人も珍しくない。
そして満月が映える今宵、また違った一面を持つ一人のMリーガーが登場した。
一児の母として家庭を支える浅見は、実況や雑誌の連載などマルチに活躍。
今は戦う“特攻シンデレラ”として満月のようなスポットライトが輝くステージへと歩んでいる。
しかし、そこでは泣きじゃくる三兄弟に手を焼いていた。
東1局
横よりも縦を意識して七対子を狙っていた浅見だったが、この局はのトイツ落としで事実上のオリ宣言。
そうさせたのは下家に座る本田の存在であった。
ペンをチーしての三色仕掛け。
現状は2,000点の愚形×愚形が残るイーシャンテンと普段通りの“ふらふら”麻雀であり、“やんちゃ”な鳴きは末っ子キャラと重なる。正に三男坊と言った所だ。
しかし、この局を制したのは仲林。
親の先制リーチに漕ぎ着けると、リーチ・ツモ・赤・裏の4,000オールで幸先の良いスタートを切った。
一見すると何気ないワンシーンだが、この局は仲林の良さが光ったので少し掘り下げてみたいと思う。
まずは3巡目の牌姿をご覧頂きたい。
先にのリャンメンを固定するツモ切り。
いわゆる6ブロック(※現状は7ブロックであるが)打法である。
こうする事でマンズのの四連形を活かしてペンやカンの弱いターツを振り替えたり、にやをくっ付けての下の三色まで見据えた秀逸な一打であった。
そして5巡目の切りの牌姿。
前巡に愚形フォロー牌のを引いて三色は見切る切りとしたが、を引いて今度はブロックが足りたと判断すると、場を精査しながら山には0枚であったカンターツ払いとする5ブロック打法を披露。
この選択によりをしっかり暗刻で捉えてのアガリ形となった。
そして、ここまでの一連の動作がノータイム。
まるで手なりのように思わせるスピーディーさも仲林の強さの一つだろう。
またこの局で面白い側面だったのが、対局後に語った白鳥のコメント。
「朋くん(本田)に次打っちゃおうかなぁと。」
その時の全体図がこちら。
全ての役牌とドラのが場に放たれが全見である。つまり本田の役は123の三色が大本線で且つ打点も1,000点か2,000点。
そうなると仮に放銃してもノーテン罰符と大差なく、親が流れるメリットもあるというのが白鳥の思考である。
実際に本田はカンの2,000点であったので白鳥の読み通りであった。
一方で対照的なコメントを残したのは浅見。
いきなり四者の思惑が交差した興味深い立ち上がりとなった。
そして、ここからは鳴きがメインで場が進む。
東2局
まずは親番の白鳥が前巡にを引き入れた所からホンイツの食い伸ばし仕掛け。
開局の三男坊の本田に続けとばかりの積極的な鳴きはまるで次男坊そのもの。
それに対してアクションを起こしたのは仲林であった。