滝沢無双に見た とあるMリーグの傾向とは【Mリーグ2023-24観戦記 11/7】担当記者 ZERO / 沖中祐也

ポンしてカンチャンだらけ。
【中】があるからそれを落としていけば粘れなくもないが、テンパイまでどれだけの有効牌が必要で、親リーチに何枚通さないといけないのか。勝算は限りなく薄いだろう。

日吉「麻雀人生において、役牌のドラをポンしなかったことがありません」

仲林は万を超える実戦経験から、瞬時にこの手では戦えないと判断したのである。

(「追憶のM」・仲林編より/Ⓒしおざき忍・ZERO)

漫画の牌姿は昨年のMリーグでの実際の手牌のもの。
このドラ【6マン】ポンは準備していないと声が出ない。

仲林は鳴きの名手であるとともに、鳴かずの名手でもあったのだ。
ルールの欠陥、は完全無欠の言い訳にしかならない。

滝沢無双

しかし、この局アガったのは親リーチの本田ではなく滝沢だった。

滝沢は次の手牌から【8ピン】を切った。↓

解説の河野はこの選択を一瞬で言い当てて凄いなと思ったが、案外難しくないか。

たしかに【8ピン】を切ると好形テンパイが約束されるものの、この手牌には678の三色がある。
タンヤオ・三色の3翻アップは魅力的だし、一番広いのも【7ソウ】切りだ。

それでも赤が1枚あるなら打【8ピン】が実戦的なのだろう。
好形テンパイが確定するということは

アガリ率だけでなく、一発率・ツモ率ともに向上することになる。
滝沢が本田の先制リーチに追いついてリーチ・一発・ツモ・ピンフ・赤の2000/4000!

キレイな麻雀と評される滝沢だけに三色にこだわるかと思ったが、そんなことに囚われていては勝てる勝負も勝てない。

日吉「長いこと滝沢を見てきましたが、これは一番いいときの滝沢です」

日々の稽古が充実していることを語る戦友の日吉。

このアガリでスイッチが入ったのか、以降は滝沢のワンマンショーだった。
親番こそ流局したものの東3局1本場では

ひょっこりドラの【3ソウ】をツモっての2000/4000。
2人から仕掛けが入ってるのにダマテンを選択するのが滝沢らしい。
この手牌にはソウズとマンズの横伸びの他に、【3ピン】【6ピン】をツモってのタンヤオ付加もある。

続く東4局には

この役無しドラ無しのカン【8ピン】を即リーチ。

トップ目ではあるものの、だからこそ他の人は向かいづらいし、局消化に価値がある。
それに28待ちはカンチャン界では最強の待ちである。

「37とは違うのだよ37とは!」
と滝沢が思っていたかは知らないが、リーチ・ツモの700/1300をゲット。

追いかけリーチを打っていた本田は待ち・打点ともに充分形だっただけに非常に価値の高いアガリとなった。

続く南1局ではダメ押しとなる

3000/6000をツモって余裕の逃げ切りを果たした。

本田の必死さ

滝沢の猛攻に隠れてしまう形にはなったものの、本田のがむしゃらな姿が印象的だったので紹介したい。

東2局、本田はここから【8マン】を切った。↓

【5マン】【8マン】を残せば、全員のほぼ安全牌を持つことになる。
だが、中点連結となる【4ピン】が3枚切れている。だからこそ危険を承知で【6ピン】を残したのだ。

残した【6ピン】が身を寄せてきて、暗刻になる。
【5ピン】を切ってリーチを打つも流局。

滝沢が抜けた後の南1局、親番での手牌。↓

カン【6ピン】待ちでテンパイしたがリーチを打つかどうか。
現状リーチのみになる上、ピンズの好形変化が多いだけではなく、三暗刻への変化もある。

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