ポンしてカンチャンだらけ。
があるからそれを落としていけば粘れなくもないが、テンパイまでどれだけの有効牌が必要で、親リーチに何枚通さないといけないのか。勝算は限りなく薄いだろう。
日吉「麻雀人生において、役牌のドラをポンしなかったことがありません」
仲林は万を超える実戦経験から、瞬時にこの手では戦えないと判断したのである。
(「追憶のM」・仲林編より/Ⓒしおざき忍・ZERO)
漫画の牌姿は昨年のMリーグでの実際の手牌のもの。
このドラポンは準備していないと声が出ない。
仲林は鳴きの名手であるとともに、鳴かずの名手でもあったのだ。
ルールの欠陥、は完全無欠の言い訳にしかならない。
滝沢無双
しかし、この局アガったのは親リーチの本田ではなく滝沢だった。
滝沢は次の手牌からを切った。↓
解説の河野はこの選択を一瞬で言い当てて凄いなと思ったが、案外難しくないか。
たしかにを切ると好形テンパイが約束されるものの、この手牌には678の三色がある。
タンヤオ・三色の3翻アップは魅力的だし、一番広いのも切りだ。
それでも赤が1枚あるなら打が実戦的なのだろう。
好形テンパイが確定するということは
アガリ率だけでなく、一発率・ツモ率ともに向上することになる。
滝沢が本田の先制リーチに追いついてリーチ・一発・ツモ・ピンフ・赤の2000/4000!
キレイな麻雀と評される滝沢だけに三色にこだわるかと思ったが、そんなことに囚われていては勝てる勝負も勝てない。
日吉「長いこと滝沢を見てきましたが、これは一番いいときの滝沢です」
日々の稽古が充実していることを語る戦友の日吉。
このアガリでスイッチが入ったのか、以降は滝沢のワンマンショーだった。
親番こそ流局したものの東3局1本場では
ひょっこりドラのをツモっての2000/4000。
2人から仕掛けが入ってるのにダマテンを選択するのが滝沢らしい。
この手牌にはソウズとマンズの横伸びの他に、をツモってのタンヤオ付加もある。
続く東4局には
この役無しドラ無しのカンを即リーチ。
トップ目ではあるものの、だからこそ他の人は向かいづらいし、局消化に価値がある。
それに28待ちはカンチャン界では最強の待ちである。
「37とは違うのだよ37とは!」
と滝沢が思っていたかは知らないが、リーチ・ツモの700/1300をゲット。
追いかけリーチを打っていた本田は待ち・打点ともに充分形だっただけに非常に価値の高いアガリとなった。
続く南1局ではダメ押しとなる
3000/6000をツモって余裕の逃げ切りを果たした。
本田の必死さ
滝沢の猛攻に隠れてしまう形にはなったものの、本田のがむしゃらな姿が印象的だったので紹介したい。
東2局、本田はここからを切った。↓
を残せば、全員のほぼ安全牌を持つことになる。
だが、中点連結となるが3枚切れている。だからこそ危険を承知でを残したのだ。
残したが身を寄せてきて、暗刻になる。
を切ってリーチを打つも流局。
滝沢が抜けた後の南1局、親番での手牌。↓
カン待ちでテンパイしたがリーチを打つかどうか。
現状リーチのみになる上、ピンズの好形変化が多いだけではなく、三暗刻への変化もある。