皆の明日を、想うから
貫く矜持
萩原聖人とMリーグ
文・後藤哲冶【木曜担当ライター】2024年3月21日
3月末。
敬虔なMリーグ信徒の皆さんならご存知の通り、この時期は各チームのファンの感情が入り乱れる季節。
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レギュラーシーズン通過を目指す雷電とフェニックス。
だがその道のりは、かなり厳しいものとなってしまった。
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この日の第1試合。
雷電本田が起死回生の役満テンパイを入れるものの、実らず。
その夢は潰え、そして同時に、魚谷が届きかけたトップも泡と消えてしまった。
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フェニックス魚谷はインタビューで極めて気丈に、「連投行きます」と宣言。
第2試合もエースが戦いの舞台に立つ。
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雷電は本田からのバトンを受けて萩原が登板。
いつも通り、胸に拳を押し当てて。
想いを背負った男が、北家の席へと向かった。
3月21日 第2試合
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東家 菅原千瑛 (BEAST Japanext)
南家 魚谷侑未 (セガサミーフェニックス)
西家 園田賢 (赤坂ドリブンズ)
北家 萩原聖人 (TEAM雷電)
東1局
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萩原は自風のが暗刻のイーシャンテン。
持ってきたは現状いらない牌だが、下家に座っている親の菅原がピンズ染め模様。
まだピンズや字牌が余っておらず、いきなりロンとは言われ無さそうだが、チーはされる牌だ。
一旦を切って
をリーチ宣言牌にする選択肢もあるが。
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ここは強くを押した。
次手出しが入った後に切るこのが、チーで済む保証はない。
手牌価値もあるこの手なら、先に勝負。
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も強く押した後に、引き入れた
。
これで待ちのリーチへ。ドラの
をツモれば、満貫からのリーチだ。
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ここに追い付いたのが、園田だった。を引き入れてのリャンメン待ちであれば勝負に値すると見て、迷いなく追っかけリーチ。
開局からぶつかったリーチ合戦の結果は。
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園田が一発で制する。
リーチのみの手が、一発ツモと裏ドラ1枚で満貫に化けた。2000、4000のツモアガリ。
東2局も、園田が魅せる。
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テンパイだが、待ちは特別場況が良いわけでもないカンで、しかもリーチのみ。
前局は待ちが優秀なこともあって追っかけリーチを敢行したが、今度は待ちが悪い。
これでは一旦取ってダマが関の山かと思われたが……。
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なんとこれをリーチ宣言。
親が後の無いフェニックス魚谷ということを考えても、いやそうでなくとも。このリーチは些か攻撃的すぎるようにすら感じてしまう。
だからこそ、この選択には理由がある。
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園田は、この時、親番の魚谷の手出しをつぶさに観察していた。
の切り順の後、1枚切れになった字牌
を合わせた。
ピンズに染めようとしていそうな河の魚谷が、をポンして打
。
園田はこのを、ピンズの染め手に行けなかった時用の保険ターツだと読み切った。
保険としてカンチャンターツも出てきにくいことを考えれば、のどれかが、確実に魚谷の手に残っている。
その3分の1で魚谷の親を落とせるのであれば、悪くない賭けだと踏み切ったのだ。