その1牌を止めるか、打つか 堀慎吾、勝利をもぎ取る精密な押し引き【Mリーグ2023-24観戦記 11/24】担当記者 東川亮

その後、堀は切った【7マン】を引き戻し、さらに急所の【4マン】を引いて1シャンテンに戻ってきたところで、【9ピン】を切った。ピンズホンイツ模様の瀬戸熊には切りづらい牌に見えるが、瀬戸熊が【1ピン】をポンする前に堀が切った【9ピン】に声がかかっておらず、その後にポン出し【8ピン】
もし【6ピン】【9ピン】で当たる形ならば【7ピン】【8ピン】【8ピン】と持っていたことになるが、それであれば【9ピン】はチーしているべき牌姿であり、【6ピン】【9ピン】待ちはないと読んだか。また、【9ピン】はすでに堀の目から3枚目でシャンポン待ちもなく、地獄単騎にするとも考えづらい。それにしても、この【9ピン】切りはほぼノータイムで、本当に自然な所作だった。

次巡、第1打に切った【8ソウ】を引き戻して【6ソウ】【9ソウ】待ちピンフテンパイ。

すぐに瀬戸熊から出て、自力は難しいと思われた堀がアガリ切るという驚きの決着により、

試合会場は季節外れの桜色に染まった。

スタッツを見れば、堀はアガリ5回に放銃ゼロ。完璧なゲームメークによる勝利である。特に南3局にリーチをしなかった判断は、一か八かの勝負がけをしてしまいそうな打ち手が多そうななか、リーチで楽になろうとせず、我慢の選択で最悪を回避したところが素晴らしかった。それが彼にとっての普通なのかもしれないが、なかなかできることではない。

充実の勝利に、試合後には連闘を宣言。そうして出場した2戦目はオーラスがものすごい1局になったのだが、そちらはぜひ、ABEMAプレミアムと千嶋辰治さんの観戦記でお楽しみいただきたい。

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