It’s Up to Me
──This is My “ Chumo”──
文・小林正和【金曜担当ライター】2025年1月24日
局面は11巡目と終盤に差し掛かっていた。
序盤の失点も相まって、次第にトレードマークの笑顔にも忍び寄る陰り。それでも、自ら放つ太陽に雲が掛からぬよう碧く透き通った空を見上げ続けると、運命の鍵を握る急所のが上家から放たれたのである。
目の前に置かれた一牌を愛おしく見つめる彼女。目には静かな覚悟が宿っていた。
果たして、その決断の先に待ち受けていた未来とは──。
第1試合
東家:滝沢和典(KONAMI麻雀格闘倶楽部)
南家:日向藍子(渋谷ABEMAS)
西家:勝又健志(EX風林火山)
北家:堀慎吾(KADOKAWAサクラナイツ)
レギュラーシーズン72日目。本日を終えると全チーム64試合を消化し、いよいよ残り32試合・佳境へと近づいていく。
そして本日の対戦カードがこちら。
セミファイナル進出圏内となる6位を巡り、5〜8位のチームがひしめく熾烈な直対の様相を呈していると言って良いだろう。
開始前のインタビューでは各選手揃って「相手がどうこうとかは気にしていない。」とは語っていたが、監督達はそうはいかない。特にその思惑が色濃く漂っていたのがEX風林火山である。
ここまで松ヶ瀬19試合、亜樹16試合、瑠美14試合、勝又13試合という采配と、やや温存気味であった
条件戦にめっぽう強い“麻雀IQ220”勝又健志を投入し、ボーダー争いの分岐点となる大事な初戦へと挑んでいった。
勝又
「まずはマイナスポイント200を切る所からですね。」
満を持して起用された勝又。本人が語る最初の目標に向けて開局から良いスタートを切る。
東1局
・ホンイツ・赤
2,000・4,000
流れるような最短ルートでのツモアガリだった為、気付きにくいのだが、実は少し工夫されたポイントが2つ隠されていたので紹介しよう。
まず一つ目は、3副露目・チー打でテンパイした後のツモ切りである。
牌効率ならばと入れ替えてカン待ちに構えつつ、ツモからの両面変化を見るのがセオリー。
しかし、そうしなかったのは手出しという厄介な存在が大きく影響しているだろう。つまりマンズの下目に注目が集まってしまい、相手にわざわざ自身の待ち関する情報を与えてしまうのである。
勝又以外の三者から見ると、もしマンズのホンイツテンパイである場合、アガリ牌候補を挙げるとしたら
・・・・・・・・
となる。ところが、実は直前にに鳴きが入っていないので比較的が通りやすいのだ。
① –両面待ちだった場合
のブロックからチーテンのカン待ちに取るはずなので可能性が低い
② –ノベタンの場合
のブロックからチーテンの待ちに取るはずなので可能性が低い
③ カン待ちの場合
のブロックからチーテンの待ちに取るはずなので可能性が低い
④ 単騎の場合
見た目同じ枚数で守備駒にも応用できるを選んでいないので可能性が低い
と考えていくと、シャンポンかペンチャン待ちにしか当たらない現状の待ち自体、ロンアガリの可能性を秘めたある意味優秀な待ちなのである。
そして、もう一つのポイントが