It’s Up to Me──This is My “ Chumo”──【Mリーグ2024-25観戦記 1/24 第1試合】担当記者 小林正和 滝沢和典 vs 日向藍子 vs 勝又健志 vs 堀慎吾

という牌の並べ方。
こうする事で3副露目した際、左端に残る牌が孤立牌の【中】となり、ペンチャンターツの存在が薄れるのである。

もちろんMリーグはライト層向けにも発信している対局なので、過度な牌の並べ替えは好ましくない。しかし、この程度であれば問題ないだろう。

こうして見えないファインプレーもありながら、幸先良く先行していく勝又。

東3局では

裏が1枚乗っていれば尚良かったとも言えるが、捲り合いを制し、日向からリーチ棒付きの5,800の加点と着実にリードを築いていく。

正に“軍師と呼ばれる所以あり”と言った内容。このまま直接対決の第一ラウンドを制するかと思われた。

ところが風向きが変わったのは東4局1本場

勝又
「あの【5ソウ】放銃が良くなかったですね。自分の仕掛けに(七対子ぽい滝沢さんが)【8ピン】を押してきた事と、そこに対してドラの【9マン】を被せてきた日向さん。僕はお呼びでは無かったかなと。」

試合後のインタビューで語ったそのシーンがこちら。

言葉通り、ここはマンガン・ハネマン級イーシャンテンの日向と滝沢がぶつかり合う盤面でも不思議では無かった。

また、滝沢も親の現物【8ピン】から【赤5ソウ】単騎へ待ち変えした理由を述べていた。

滝沢
「(勝又さんの)ポン出しが【9ピン】でして…。そうすると【7ピン】【8ピン】が雀頭のリャンメン待ちが濃厚。特に【1ピン】【4ピン】【7ピン】【4ソウ】【7ソウ】が本命かなと。もし【8ピン】が頭の場合は山に0枚なのでアガリにいくなら【5ソウ】と思い、待ち変えしましたね。」

たまたま【赤5ソウ】ツモだったので、視聴者側も強制待ち変えかなと思ったかもしれない。でも実際はそうではなく、明確な理由の下でのアガリ形であり、反省する局も選択肢もハイレベルな一面が見て取れた。

一方で、苦しい立ち上がりとなったのが

発足時メンバーに変更が未だ無く、且つレギュラーシーズン敗退の無い唯一のチーム、渋谷ABEMAS日向藍子であった。

東3局

こちらは日向の手牌。
カン【7ピン】を引き入れテンパイ、そしてリーチ… ドラのペン【7マン】待ちである。

もしアンケート取ったならば、リーチに行きづらいランキング上位にランクインしそうではあるが、場に放たれづらいのであれば、いっそリーチに踏み切り時間を稼ぐのも一つの手段だ。

しかし今回は…

なんと【1ソウ】を2枚河に並べている親のリーチが先に入っているのである。

その時の対局者の共通認識とは…。

それは、待ちとして優秀となり得るヤオチュウ牌のトイツ落としを意味しているので、形の良さだったり打点、あるいは両方を伴っている事が多いという見方から入る。つまり、非常にリーチは躊躇したくなる状況なのだ。

更に驚くべき点は、その選択を日向が行ったという事。
Mリーガーの中で、今シーズン未だにラス無しの記録を持つ日向は、守備力に定評のある打ち手。今回のように、一か八かと勝負するタイプでは無かったように認識している。

そんなアグレッシブな姿勢が見える中、流石に2対9の確率には勝てず、勝又にこそ軍配が上がったが

その時の日向の表情は、いつもと変わらぬ夏の太陽のような微笑みを浮かべていた。

そして、その意図する輪郭がクッキリと現れてきたのが次局の東3局1本場

前局の失点をリカバリーするに値するタンヤオ・赤2のイーシャンテンである。打点は十分、懸念材料があるならば、間も無く3段目に入りそうという事くらい。

すると… タイミング良く次巡

滝沢からネック牌の一つ【7マン】がツモ切られたのであった。

日向の視点からは【6ピン】が3枚見えており、マンズメンツさえ埋まればアガリは約束されている盤面である。

ましてや2枚目の【7マン】という点も考慮すると、メンゼン高打点主体の黒沢咲以外にチーテンを取らないMリーガーなど正直思い付かなかった。

しかし、その思考はこの日を境に消えていった。
日向は心の中で静かに、何かに対して首を振ると

(その選択を輝かせる為に、未来へと繋がる事を信じて)

待っていたのは

 

 

メンゼンテンパイであった。

伊藤アナウンサー
【7マン】をチーテン取らなかった時の心情をお聞かせください。」

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