最後まで貫いた一人の物語 麻雀最強戦2023【ファイナル 1st Stage】観戦記【C卓】担当記者 小林正和

麻雀の不条理。

3対1は1が勝つ。

桑田へ12,000の放銃。

その瞬間
瀬戸熊はすでにその理不尽な現象を受け入れ、今できる事に全身全霊に立ち向かう事に切り替えていた。

それは現最強位としての最後の意地として。

南3局

【中】ホンイツ
1,000・2,000

このアガリでオーラスには1,600・3,200、8,000出アガリ条件まで緩和すると

南4局

条件に見合ったチャンス手を引き込む瀬戸熊。

だがしかし、
無情にも下家のたろうに二副露が入っている絶体絶命なのだ。

研ぎ澄ますその表情に視聴者・解説席・スタッフ全員が魅入る。

そして
その瞬間はやって来た。

意を決したかのように1牌を手にすると

この日、初めての強打。

「パンッ…!!」

初冬の空気のように乾いた、でも少し心地の良い音が舞台に響き渡る。

たろうへ
【白】1,000の放銃だった。

それと同時に、一人の漢
瀬戸熊は何か悟ったように遠くを見据えていた。

その瞳は、まるでビー玉のように光り輝くように。

瀬戸熊
「また明日から頑張ろう。」と。

一つの物語が終わった。

いや違う。

新たなページの始まりに過ぎない。

瀬戸熊の意思を受け継ぎながら、麻雀最強戦はこれからも続いて行くのだから。

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