海底から見えた光　さぁ、最速マーメイド魚谷侑未　凪いだ海に漣(さざなみ)を起こせ【Mリーグ2023-24観戦記 12/21】担当記者 #後藤哲冶

南２局は渋川がドラ単騎のチートイツをツモって3000、6000。
12000の放銃で減っていた点棒を、この跳満で取り返して戦線復帰。

南３局

メンホンの勝負手イーシャンテンが入っていた魚谷に、４枚目のがやってくる。

魚谷がここで少考。
局面はかなり煮詰まっている。
役牌のをポンした親番の小林からは、濃い牌がかなり打ち出されており、テンパイでもおかしくない。
それに対し、西家の渋川が強い牌を切っている。

それでも魚谷はをカンして前に出ることを選択。自らの手牌は勝負手。
アガればトップまで見えるこの手を、みすみす逃すわけにはいかない。

魚谷にテンパイが入らないまま、数巡が経ち。持ってきたのが、。親の小林には通っているが、その小林に対して押している渋川に通っていない。
ここは一旦手牌に置いて、安全な切り。

この一巡魚谷が置いたが、この局の運命を分けることになってしまう。
魚谷がを手の内に置いた直後、渋川が危険牌のを引き。一旦を切った渋川だったが、その一巡後に魚谷から鳴けるが出てきてしまったのだ。

これを鳴いてテンパイを取った渋川が、小林の12000に飛び込んでしまう。
渋川はこの放銃で、かなり厳しい立ち位置に立たされることになった。

南３局１本場

魚谷が持ち前の構想力を見せる。直前にを引いたことでピンズの形が良くなった。ドラ赤あるこの手なら、役牌を鳴けずともホンイツで8000点になる。
ということでオタ風のからでもポン。あらかじめ、鳴く予定の字牌中と北は両端に移動してある。
これで広いくっつきのイーシャンテン。そしてがポンできれば絶好の待ちだ。

の比較も忘れない。が２人に通っていてだけになっているが、肝心の親の小林にはが現物。
引きも中バックの8000点テンパイをとるかどうか一応比較できるので、切りが優位と判断。

次巡に持ってきたもツモ切り。のリャンメンターツ落としが見えるとが鳴きにくくなる。
前述したように、は親の現物でもあるのだ。

次巡、を引いてテンパイ……だが、直前にトップ目の太からリーチが入ってしまっていた。
しかし、これは8000点の勝負手。ツモか太からの直撃で、一気にトップ目まで見えるテンパイなのだ。
当然は押す。

「ロン」

魚谷がしっかりと比較して残したはずのは、太のアガリ牌になってしまっていた。
この半荘しっかりと一打一打を精査してきた魚谷を嘲笑うように、裏ドラには、が眠っていて。
リーチ一発ピンフドラ、裏裏。跳満は、12000。

魚谷の表情が僅かに歪む。
これで、渋川の下にまで行ってしまった。オーラスの親番で、せめて、ラス回避だけは――

そんな魚谷の想いは……南４局たった６巡で、叶わぬ願いとなったのだった。

トップには、赤坂ドリブンズ、渡辺太。

第１試合の園田のラスを帳消しにする、素晴らしいトップ。
待ちになった東４局と、一気通貫でアガリきった南１局の手組がお見事だった。
確かに裏ドラが乗った良い偶然もあったかもしれないが、このトップもまた、太の手組があってこそ。
圧倒的な実力で、これで個人４位にまで浮上。

苦しい４着となってしまったのが、魚谷侑未。
年内チーム最終戦に、アガリが１回も無い４着となってしまったのは、とても苦しい。

しかしその表情は、そこまで暗いものではなかった。
それは、魚谷含めチーム全員が、レギュラー突破、そしてチーム優勝を全く諦めていない事の証左であり――